3d遷移金属イオンを発光中心とする深赤色蛍光体の開発を行った。新たに開発したフッ素ドープアルミン酸リチウムを母体化合物に、Cr3+、Mn4+、Fe3+を微量添加した際にそれぞれの発光中心イオンが発する深赤色蛍光のメカニズムを結晶構造の観点で明らかにした。X線回折法やX線吸収法などの構造解析、ESRなどの局所配位環境に関する分析法、そして分子動力学シミュレーションに基づく結晶構造の可視化を行った。その結果、結晶格子中の酸素の1%程度を置換するフッ素が結晶構造の中長距離の秩序性を乱していることがわかった。結晶骨格中に、局所的に導入される構造無秩序性が発光特性向上をもたらすことが明らかになった。
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