研究課題
着目する鉄層状ペロブスカイト化合物へ、H2O、水酸化物イオンをインターカレーションさせるための最適な条件を検討した。さらに、warm-press法でこのインターカレーションさせた試料の緻密体を作製した。得られた緻密試料について、濃淡電池法でイオン伝導の存在の有無を調査した。その結果、測定温度120-200℃の範囲で、起電力が生じ、その起電力の絶対値は焼結試料両端にかかる水蒸気分圧差が大きくなるほど大きくなる結果を示した。このことは、このインターカレーションした鉄層状ペロブスカイトが、以上の温度範囲で水酸化物イオン伝導を示すことを示唆する。150℃から200℃に温度を上昇させる間に、この起電力はゼロに近づく傾向を示した。温度上昇とともに水酸化物イオンが脱離し、この系の電子キャリア(ホール)に相当するFe4+の量が増加したことが起電力が小さくなった主な原因であると考えている。
2: おおむね順調に進展している
以上のように、着目する良質な試料を作製できており、この作製した試料において一部イオン伝導を示唆する結果を得ているため。
今後は以上の結果を踏まえ、この材料系においてより正確なイオン伝導率の測定を行えるように装置の改良、整備を進める。
コロナ禍の影響で、一部予定していた実験が実施できなかったため、物品、消耗品購入量が当初の予定より少なかった。また、情報収集、成果報告のために参加を予定していた学会がオンラインでの開催となったため、旅費分が一部不使用となった。これらは、次年度予定している実験の物品や現地開催の学会参加用旅費、研究旅費に充てる予定である。
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Materials Research Bulletin
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