本研究では,半導体粒子中に存在するトラップ電子のエネルギー準位の解析や懸濁系の反応下におけるトラップ電子の生成・反応過程の観測を行った.様々な反応条件での分析を行うことによって,トラップ電子には伝導帯への励起プロセスを経由せずに,直接反応するプロセスが存在し,それらはアクセプターの種類に大きく依存していることを明らかにした.また,トラップ電子を有効活用することによって,新たな光触媒反応系の構築に取り組み,ニトロベンゼン還元によるアニリン生成,硝酸イオン還元によるアンモニア生成,二酸化炭素還元によるメタノール生成,および,助触媒添加による水素生成反応が進行することを確認した.
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