研究課題/領域番号 |
20K05671
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
望月 大 東京電機大学, 工学部, 准教授 (90434315)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電極触媒 / 還元反応 / コアシェル触媒 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、異種の金属酸化物層をナノメートルスケールで交互に積層した新奇ナノハイブリッド型二酸化炭素還元触媒の創出を目的としている。具体的には、異種金属酸化物ナノシート交互積層体に、層間距離やその層間へ色素分子を導入することにより、電荷分離を制御し、この電荷分離制御を二酸化炭素還元触媒反応へ応用する。本手法では,異種の層状無機酸化物が創出する空間を精密に制御することで,①反応基質捕捉・活性化部位、②電子注入部位、さらに③反応基質の拡散空間を持った反応場の提供を目指す。不均一触媒反応中の反応サイトの構造と電子状態の変化が触媒反応活性を支配するため。より活性高い触媒の開発には、反応中の反応サイトの構造や電子状態といった遷移状態の制御が必要である。以上の検討は、二酸化炭素還元触媒反応への礎となるのに加え、新奇ナノ材料創製に向けた新機軸を付与する可能性がある。今年度の研究では異種金属触媒材料実用化の一環としてコアシェル触媒の製造方法の検討を行った。コアシェル触媒として固体高分子形燃料電池の正極用の低量Pt触媒を連続的に製造するのに適した新しい方法を提案した。カーボン担持コアシェル触媒の触媒層は、Cuアンダーポテンシャル蒸着とそれに続く表面限定レドックス置換を用いて作製した。触媒層全体で異種金属同士の分布がよく一致していることから、コアシェル反応が触媒層全体で起こっていることがわかった。カーボン担持コアシェル触媒は従来の触媒に比べて1.8倍の質量活性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた二酸化炭素還元反応の検討がコロナ禍による登校停止措置があったため、次年度の計画まで繰り延べされており、やや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度では、ヘテロ積層半導体と有機金属錯体との複合化により、二酸化炭素還元触媒へ応用する。二酸化炭素を効率よく有用な化合物に変換するために、二酸化炭素および還元エネルギーが迅速に供給できる反応場と精緻に設計された金属錯体活性中心を融合させた革新ナノ材料を提供する。層間に有機金属錯体をインターカレーションさせた後、二酸化炭素を吸着させ、層間内に二酸化炭素を濃縮させる。そこで濃縮された二酸化炭素が、超臨界状態の二酸化炭素と同様に、有機金属錯体と接触することで、二酸化炭素の還元反応が効果的に進行すると予測し、検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、実験が計画通りに進まなかったため。
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