研究課題/領域番号 |
20K05675
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研究機関 | 群馬工業高等専門学校 |
研究代表者 |
平 靖之 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40369939)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光触媒 / 希土類 / ペロブスカイト |
研究実績の概要 |
申請者は,これまでに希土類であるテルビウムを含むペロブスカイト型酸化物BaTbO3が,可視光照射により光触媒活性を示すことを発見している。同じく希土類であるセリウムを含むペロブスカイト型酸化物BaCeO3は,紫外光を照射することにより光触媒活性を示すものの,可視光には応答しないことが知られている。 本研究では,このBaCeO3に異なる希土類イオンを置換固溶させることで,紫外光にしか応答しなかった光触媒の可視光応答化を目指している。新規可視光応答型光触媒である希土類含有ペロブスカイト型固溶体について,試料合成に固相法および液相法を駆使することで試料の結晶構造,化学組成,形態を制御し,未だ解明されていない固溶体の光触媒活性を明らかにし,希土類化合物群における可視光応答型光触媒探索の新たな指針を掲げることが目的である。 新規可視光応答型光触媒である希土類含有ペロブスカイト型固溶体について,複数の合成手法を用いることで試料の結晶構造,化学組成,形態を制御し,光触媒活性を示す起源を探っている。当該年度は以下のことを明らかにした。BaCeO3に異なる希土類イオンであるPr3+を置換させた固溶体BaCe1-xPrxO3に注目した。液相法の一種である錯体重合法を用いて試料の合成を行い,目的の光触媒試料を得ることができている。疑似太陽光を照射して光触媒活性を調べたところ,メチレンブルー色素を分解することができた。しかしながら,同じ化学組成の試料でも,メチレンブルー色素を分解する能力にばらつきがあることが判った。この原因は,試料の形態や比表面積等が光触媒活性に影響を与えるためであると考えており,引き続き検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により,当該年度の4月~6月までは研究室を閉鎖していたため,本研究課題の進捗に遅れが生じている。7月以降はおおむね順調に進んでいるため,研究室を閉鎖していたおよそ3ヶ月分の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
疑似太陽光を照射して光触媒活性を調べたところ,メチレンブルー色素を分解することができている。同じ化学組成の試料でも,メチレンブルー色素を分解する能力にばらつきがあることが判っている。この原因は,試料の形態や比表面積等が光触媒活性に影響を与えるためであると考えている。その原因を調べるために,走査型電子顕微鏡による表面観察や比表面積測定を行い,光触媒活性との関連を明らかにする。 また,メチレンブルー色素分解に加えて,メタノールの分解等,複数の手法を用いて試料の光触媒化成を調べる。BaCeO3に異なる希土類イオンであるPr3+を置換させた固溶体BaCe1-xPrxO3に注目していたが,Pr3+以外の異なる希土類イオンを置換した場合について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で,当該年度の4月~6月は研究室を閉鎖していたため,使用する物品(試薬等)が少なくて済んだことがあげられる。また,学会発表等は全てオンラインでの開催であったため,旅費の使用は0円であった。新型コロナウイルス感染症の影響で,密を避けるために外部の作業者に作業の依頼を行わなかったため,人件費・謝金の使用は0円であった。
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