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2020 年度 実施状況報告書

空気中の二酸化炭素の還元を志向した革新的光触媒の創製

研究課題

研究課題/領域番号 20K05686
研究機関京都大学

研究代表者

梶原 隆史  京都大学, 高等研究院, 研究員 (80422799)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード二酸化炭素還元 / 多孔性金属錯体 / 光触媒
研究実績の概要

脱炭素社会の実現に向けて,人工光合成をはじめとする二酸化炭素の再資源化の研究が盛んに行われているが,実用化に至るまでにはいくつもの課題を解決する必要がある.本研究では,世界中に広く薄く混合ガスとして存在する二酸化炭素を,事前に高純度ガスへと生成することなく低濃度混合ガスのまま変換反応に供することを志向し,ガス分離・濃縮機能に優れた多孔性金属錯体を用いた触媒設計を行なった.多孔性金属錯体の骨格を形成する有機配位子の一部を二酸化炭素還元活性を示す分子性遷移金属錯体に置換することにより,複合触媒を調製した.この複合触媒の反応性を評価したところ,多孔性金属錯体のマイクロ孔内で二酸化炭素の濃縮が起きていることを強く示唆する特異な反応性を示すことが明らかになった.本結果は,従来知られている気相での二酸化炭素濃縮ではなく,液相中に懸濁した状態での二酸化炭素濃縮現象であり,全く新しい知見を与えるものである.本結果を基に,二酸化炭素還元の反応性をさらに向上させるための複合触媒の設計指針を得ることができた.また,二酸化炭素還元活性を示す分子性遷移金属錯体自体にも二酸化炭素濃縮機能を付与することを着想し,相互作用部位を含有する新規なルテニウム錯体を設計・合成した.さらにこの新規錯体が実際に二酸化炭素還元触媒として機能することを明らかにし,相互作用部位を持たない既報の類似錯体よりも反応性が向上することを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多孔性金属錯体および分子性遷移金属錯体の設計・合成に成功し,二酸化炭素濃縮機能が還元反応活性に大きな影響を及ぼすことを明らかにしている.液相中懸濁状態における二酸化炭素濃縮機能という全く新しい研究領域に展開しており,当初計画の通りに順調に進展している.

今後の研究の推進方策

これまでに得られた知見を基に,さらなる反応性の向上を目指した触媒設計・合成を引き続き検討する.さらに高度な複合触媒の設計として,光捕集部位を骨格中に組み込んだ系へと展開する,また、多孔性金属錯体の二酸化炭素分離機能に焦点をあて、濃縮だけでなく分離をも同時に行ないその場で反応させるような革新的な複合触媒へと発展させる.

次年度使用額が生じた理由

二酸化炭素還元反応の評価で興味深い結果が得られたことにより,この方向に注力して検討したため,当初計画していた種々の有機配位子・金属錯体を合成するスクリーニング評価を次年度以降に行うことに変更した.これにより,有機合成・錯体合成に必要となる試薬・溶媒などの消耗品費を次年度使用額としてさらなる高度な有機配位子・金属錯体の設計・合成を精力的に行う計画である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [国際共同研究] Karunya Institute(インド)

    • 国名
      インド
    • 外国機関名
      Karunya Institute
  • [雑誌論文] Ligand-Assisted Electrochemical CO2 Reduction by Ru-Polypyridyl Complexes2020

    • 著者名/発表者名
      Debashis Ghosh, Takashi Kajiwara, Susumu Kitagawa, Koji Tanaka
    • 雑誌名

      European Journal of Inorganic Chemistry

      巻: 2020 ページ: 1814-1818

    • DOI

      10.1002/ejic.202000259

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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