研究課題
本研究では、メカノケミカル法でグラフェンを合成し、そのグラフェンの物性を明らかにするとともに、電気化学エネルギーデバイスへと応用展開することに取り組む。具体的には、メカノケミカル法により合成したグラフェン(=メカノケミカルグラフェン)について、以下の2点を明らかにすることに取り組む。① 酸素還元・酸素発生に対して高い活性を示す要因を明らかにする② 酸素還元・酸素発生反応以外の電気化学反応への適用可能性を探る本年度は①について重点的に取り組んだ。①について昨年度までの検討で、メカノケミカルグラフェンへの窒素あるいは硫黄ドープがメカノケミカルグラフェンの比表面積低下を引き起こすことが明らかとなった。これは、窒素あるいは硫黄ドープには通常よりも長い反応時間が必要であり、長時間の反応により粒子が凝集したためであると考えられる。そこで今年度は、メカノケミカルグラフェンの凝集を抑制する方法の検討を行った。その結果、塩化ナトリウムを添加した状態でメカノケミカル反応を行うことで、グラフェン粒子の凝集を抑制し、メカノケミカルグラフェンの酸素還元活性を向上できることが明らかとなった。研究期間全体としては、①については、メカノケミカルグラフェンに窒素あるいは硫黄をドープすると酸素発生活性が向上すること、酸素還元活性は活性点の数の影響を受けるが酸素発生活性は活性点の数ではなく活性点一つ一つの質の影響が強いこと、メカノケミカルグラフェンは合成時に粒子が凝集するがその凝集は添加剤により抑制できること、の3つが明らかとなった。②については、メカノケミカルグラフェン中に形成される欠陥がグルコース酸化活性を示すこと、そして、メカノケミカルグラフェンは二酸化炭素還元活性を持たないが他の二酸化炭素還元触媒の活性を補助する機能があること、の2つが明らかとなった。
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Journal of The Electrochemical Society
巻: 169 ページ: 064515~064515
10.1149/1945-7111/ac7829