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2022 年度 実施状況報告書

光とナノミストを利用した連続水素生産装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K05695
研究機関都城工業高等専門学校

研究代表者

山下 敏明  都城工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (80191287)

研究分担者 野口 大輔  都城工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (00413881)
藤川 俊秀  都城工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (10777668)
淡野 公一  宮崎大学, 工学部, 教授 (50260740)
高橋 利幸  都城工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (50453535)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード共生藻 / 光触媒 / ナノミスト / 水素生産
研究実績の概要

本研究は、薄膜光触媒の製作、ミストの発生、藻類からの糖生産から成り立っており、これらを統合して連続型の水素生産装置を開発する。令和4年度は、令和3年度に引き続き、それぞれの担当で基礎的な研究を行なった。
薄膜光触媒の製作に関しては、光触媒である酸化チタンをガラス基板上に成膜し、その後の白金助触媒の最適担持条件の検討を昨年度に引き続き行った。その結果、最大量の水素を生産するための各種条件(白金溶液の濃度、犠牲試薬の濃度、光照射時間、照射強度、用いる酸化チタン薄膜の面積)を明らかにした。
ミストを用いた水素生産に関しては、白金担持光触媒を組み込んだ反応装置を作成して、水素生産のための犠牲試薬をミストとして供給して水素生産を行った。その結果、通常の溶液条件下での水素生産方法と比較して、マイクロミスト装置を用いて水素生産を行った方が、同じ反応時間において水素生産量に優位性が認められた。ナノミストに関しては、化学反応を起こすために、ナノミストの濃度を上げる必要が分かった。また、比較対象のための白金担持光触媒を組み込んだマイクロリアクター中での水素生産も行い、水素生産の最適条件を明らかにした。
藻類からの糖生産に関しては、光触媒による水素生産に必要なマルトースを分泌する藻類を培養するための条件の検討を行った。その結果、pHをクエン酸を用いて調整すると、クエン酸の低濃度領域で光合成効率が向上することが分かった。また、明暗条件より明条件で培養した方が糖の生産量が多い結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、水素生産装置と糖生産装置のそれぞれの基本的な研究を行ったのち、最終的にそれらの結果を総合して連続水素生産システムを完成させる予定である。
水素生産装置の開発では、水素を生産するための酸化チタン成膜ガラスを作成し、その成膜ガラスに白金助触媒を担持した。その結果、最大量の水素を生産するための白金溶液の濃度、犠牲試薬の濃度、光照射時間、照射強度、用いる酸化チタン薄膜の面積が明らかになった。
ミストを用いた水素生産に関しては、通常の溶液中での水素生産に比べ、マイクロミストにして犠牲試薬を供給した方が水素の生産量が高いことがわかった。しかし、ナノミストにして犠牲試薬を供給すると、犠牲試薬の濃度が低いことがわかったので、水素生産に最適なナノミストの発生条件および反応装置を改善する必要がある。ナノミストの研究はほとんどなされていないため情報量が少なく、また、ナノサイズのミストの検出が難しいため、進捗がやや遅れている。
糖生産装置の開発では、共生藻の培養液や糖生産条件の検討を行っている。共生藻の培養には時間がかかるため進捗がやや遅れているが、今後、条件の最適化を図るとともに、水素生産装置と糖生産装置を連結して水素生産を行うために、フロー条件下で最適な糖生産条件を見出す予定である。
ナノミスト発生および糖生産装置の開発の進捗はやや遅れているもの、白金担持酸化チタン薄膜の製作に関しては、ほぼ順調に進んでいる。明らかにすべき課題は明確になっているので、次に示す計画にしたがって研究を遂行していく予定である。

今後の研究の推進方策

令和5年度の前半は、水素生産装置と糖生産装置とのそれぞれについて令和4年度の結果をもとに研究を推し進め、後半は二つの装置を連結し、最大量の水素を生産できる条件を明らかにする予定である。水素生産装置の開発において、水素生産のための成膜条件および白金助触媒の担持条件の最適値はほぼ確定したため、ナノミスト発生装置と糖生産装置の製作を推し進める予定である。
ナノミスト発生装置に関しては、水素生産に最適なナノミスト発生条件および反応装置の改善を、研究分担者の淡野(ナノミスト発生装置担当)とともに行う。
糖生産装置の開発では、共生藻の培養液や糖生産条件の検討およびフロー条件下での最適糖生産条件(反応容器の検討、流量の設定、光量、培養液の選択など)を、研究分担者の高橋(共生藻担当)とともに遂行する予定である。
これらの結果をもとに、連続水素生産システムを令和5年度に完成させる予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染による研究の遅延およびスパッタリング装置の故障により、金属ターゲットおよびナノミスト発生装置の部品等を購入していないためである。令和5年度はこれらの物品を購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Method for Stress Assessment of Endosymbiotic Algae in Paramecium bursaria as a Model System for Endosymbiosis2022

    • 著者名/発表者名
      T. Takahashi
    • 雑誌名

      Microorganisms

      巻: 10 ページ: 1248

    • DOI

      10.3390/microorganisms10061248

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] TiO2 およびPt/TiO2 薄膜を組み込んだマイクロリアクター中での芳香族ニトロ化合物の選択的光還元およびN-アルキル化反応2023

    • 著者名/発表者名
      山下 敏明, 岡部 勇二
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会要旨集

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公開日: 2023-12-25  

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