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2020 年度 実施状況報告書

レーザーテラヘルツ放射顕微鏡による太陽電池用トンネル酸化膜の評価と開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K05697
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

望月 敏光  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30549572)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードテラヘルツ時間領域分光 / シリコン / 表面パッシベーション / 原子層堆積法 / 酸化膜 / 酸化アルミ
研究実績の概要

テラヘルツ時間領域分光による評価法により得られる情報は容量-電圧法などにより得られるそれに非常に近いが表面が絶縁性であることを要求しない。そこで本年度はテラヘルツ時間領域分光によるシリコン表面の非絶縁膜によるパッシベーション特性の評価の一環として、トンネル酸化膜たりうる厚さ領域で原子層堆積法(ALD)により成膜されたシリコン酸化膜および酸化アルミ(AlO)/シリコン酸化膜(SiO)多層膜の特性を様々な膜厚及び熱処理条件下で系統的に評価した。ALD酸化膜にあってはテラヘルツ放射の波形は熱酸化膜のそれに類似していたが少数キャリアライフタイムと非常につよい逆相関が得られた。これはテラヘルツ時間領域分光を行う為の励起光による表面ポテンシャルのスクリーニング効果によるものと考えられ、テラヘルツ時間領域分光による表面ポテンシャル評価を定量化する場合の課題となる。ALD AlO/SiO多層膜にあっては、SiO 1nmの上にAlO 10 nmを積層した膜とSiOを省略しAlOのみをのせた膜で非常に似通った信号が得られたが、SiO 10 nmの上にAlO 10 nmを積層した試料にあっては中央部ではAlOを弱くしたような信号が、やや外側にあってはTHz放射が殆ど発生せず外縁部でTHz放射の波形が反転し酸化膜と同様の波形が得られた。これは成膜時にAlOのチャージアップをSiOが抑制したことの証拠であるとともに、膜の均一性が非常に高いとされるALD酸化膜であってもパッシベーション特性から見ると影響の大きい厚さあるいは電気的特性の不均一があることの証拠でもあり、ALDによるパッシベーション膜の成膜における今後の課題である。本内容はEUPVSECおよび応用物理学会に発表された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

シリコン結晶太陽電池の研究にあってはシリコン単体では到達しえない高効率な太陽電池の開発が非常に盛んになっており、本研究にあってもタンデム型太陽電池あるいは熱回収太陽電池といったタイプの太陽電池を念頭においたシリコンプロセスの開発を最終的な目標に据えた系の開発を重視している。特にペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池のタンデム型太陽電池に使えそうな表面パッシベーションプロセスの開発を行っており、本年度の成果はそこから派生したものといえる。

今後の研究の推進方策

本研究はここからSiN膜、あるいはペロブスカイト太陽電池の下処理たるITO,あるいは直接成膜でタンデム化しうるシランカップリング系などを中心に検討して行き、作成試料をテラヘルツ時間領域分光で評価し、開発の加速に役に立つだけでなくその本質の理解も深めたい。

次年度使用額が生じた理由

見積競争等により調達物が予想より安価であったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] THz時間領域分光によるALD酸化膜の電界効果の評価2021

    • 著者名/発表者名
      望月 敏光、薄 謙志郎、棚橋 克人、高遠 秀尚、川山 巌、斗内 政吉
    • 学会等名
      応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Evidence of Charge Polarity Reversal in Silicon Oxide Film Deposited by Atomic Layer Deposition2020

    • 著者名/発表者名
      望月 敏光、薄 謙志郎、棚橋 克人、高遠 秀尚、伊藤 明、中西 英俊、川山 巌、斗内 政吉
    • 学会等名
      EU PVSEC
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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