メラノソームを大量放出させる化合物の特性検証を実施した。その結果、オートファージと連動していることを示すことができた。これまで、オートファージはメラノソーム分解に作用し、細胞内メラニン量を低下させることが報告されているが、今回はメラノソーム放出促進で細胞内メラニン量低下が誘導されたケースと示唆された。加えて、メラニン合成酵素の発現や活性を抑制することで、メラニン蓄積が少ないメラノソームの放出も観察された。この低メラニン含有メラノソームは蛍光化合物でラベルできることから、他の細胞への取り込みも評価できた。今回単離したメラノソームはケラチノサイトのみならず、マクロファージへもメラノソームが取り込まれた。また、想定外に本メラノソーム分泌促進剤は、エクソソーム分泌も促進させた。メラノソームとエクソソームの共通マーカーとしてCD63が挙げられ、本メラノソーム分泌促進剤は1uMでCD63の遺伝子発現を亢進させた。このことは、CD63の発遺伝子発現とMVBs関連細胞内小胞の分泌機構が連動していることを示唆する。効率よくメラノソームとエクソソームの細胞内取り込みを可視化するため、より親和性の高い新たな化合物の合成にも着手し、新規の共有結合型、クソソームラベル化剤を得ることに成功した。さらにその構造を改変することで、他の化合物(薬)を結合させることにも成功した。また、蛍光化合物の誘導体を合成する中で、新たなミトコンドリア染色剤を得ることにも成功した。この染色剤は、ミトコンドリアタンパク質と共有結合するが、この特徴はこれまで開発されたミトコンドリア染色剤には無い特徴で、マイトファジーを誘導するとミトコンドリア分解と同調して本蛍光剤も分解された。本ミトコンドリア染色剤もメラノソームおよびエクソソームを染色できたことから、3者で共有する特徴・物性を有するものと結論できた。
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