これまでに申請者らは、CTAB法を用いて金ナノロッドを合成し、金ナノロッドの分散性および生体適合性向上のために金ナノロッド表面をPEGにて修飾し、細胞内への送達およびミトコンドリアへの局在化を期待して、金ナノロッド表面をミトコンドリア移行シグナルペプチドにてさらに修飾した。得られたペプチド-金ナノロッド複合体は期待通り、近赤外領域に光吸収帯を有し、緩衝溶液中に分散し、表面電位はカチオン性であった。このようにして獲得したペプチド-金ナノロッド複合体をヒト子宮頚ガン由来HeLa細胞に添加し、近赤外光レーザー照射したところ、複合体のみおよびレーザー照射のみと比較して優位に癌細胞生存率を低下させた。多剤耐性ガン細胞への適用については実施できなかったものの、ペプチド-金ナノロッド複合体の合成方法や近赤外光吸収に伴う発熱挙動など重要な基礎的データが取得されたことから、本研究の目標は十分に達成されたと考える。
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