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2020 年度 実施状況報告書

ペプチド核酸ジッパー法による機能性ペプチドの細胞内運搬およびその活性保持

研究課題

研究課題/領域番号 20K05714
研究機関近畿大学

研究代表者

北松 瑞生  近畿大学, 理工学部, 准教授 (60379716)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードペプチド / ペプチド核酸 / 細胞内運搬ペプチド / オートファジー
研究実績の概要

本研究は、活性を損なうことなく機能性ペプチドを細胞内へ運搬することを目的とする。そのためにペプチド核酸(以下PNA)を介して機能性ペプチドと細胞内運搬ペプチド(以下CPP)を連結-分離させる方法(PNAジッパー法)を開発する。本法によって運搬された機能性ペプチドの細胞内での活性を評価して、その有用性・汎用性を調べる。本法は細胞表面上ではなく細胞内の物質を標的にすることができ、その成果は革新的な医薬開発につながる。
研究実施計画は、以下の3つの工程に分かれる。
①ペプチド合成;機能性ペプチド修飾PNAおよびCPP修飾PNAをペプチド固相法により合成する。CPPはオリゴアルギニンとする。機能性ペプチドはオートファジー誘導ペプチドであるBeclin 1(Shoji-Kawataら、Nature 2013)などを用いる。また下記の評価のために種々のPNA鎖長を持つペプチドを合成する。
②PNAの鎖長・配列の最適化;上記の配列は、水中で塩基配列特異的に1/1のハイブリッドを形成することが報告されている配列を参考とした(Romanelliら、Biopolymers 2009)。ただし本法において細胞外から細胞内で十分な連結-分離を生じさせるには、PNAの鎖長・配列のチューニングが必要であるので検討する。PNAのハイブリッド形成はUV融解曲線・蛍光スペクトルなどで評価する。またこれらの機器を用いて滴定曲線を得ることで結合定数を求め、ハイブリッド形成を定量的に解析する。
③細胞内での活性評価;機能性ペプチド修飾PNAおよびCPP修飾PNAにそれぞれ発光波長の異なる蛍光基を修飾して共焦点レーザー顕微鏡により観察することで、細胞内での分離を評価する。また、その細胞内機能評価についても、これまでの研究者の報告(北松ら、Chem. Commun., 2015)に基づき、細胞死検出キットなどを用いて行なう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、オートファジー誘導ペプチドを修飾したPNAと細胞内運搬ペプチドを修飾したPNAを合成した。これらは4,6,8,10,12量体のPNA鎖長を含んだペプチドである。これらの各組合せについてUV融解曲線および蛍光スペクトルによる蛍光滴定曲線から調べたところ、ある特定のPNA鎖長からハイブリッドが形成されることを見出した。さらにこれらの組み合わせのペプチドの一部を用いて細胞内導入を調べたところ、ある特定の鎖長以上のPNAで細胞内にオートファジー誘導ペプチドを運搬できることを見出した。これらのオートファジー誘導を予備的に確認したところある特定の組み合わせのPNA鎖長でオートファジー誘導が最大化することを見出した。またPNAジッパーに代わる、新しいペプチドジッパーについての検討を開始した。

今後の研究の推進方策

これらのPNAの全ての組み合わせに対する蛍光画像の観察を実施し、さらに全ての組み合わせのオートファジー誘導について確認したい。また、新しいペプチドジッパーについての検討を、このPNAジッパーと同様に始めていきたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Complementary Leucine Zippering System for Effective Intracellular Delivery of Proteins by Cell-Penetrating Peptides2021

    • 著者名/発表者名
      Mizuki Kitamatsu, Hiroki Yuasa, Takashi Ohtsuki, Hiroyuki Michiue
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry

      巻: 33 ページ: 116036-116041

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2021.116036

    • 査読あり
  • [学会発表] ペプチド核酸ファスナーによる機能性ペプチドと細胞膜透過ペプチドの連結および細胞内活性評価2021

    • 著者名/発表者名
      石井康稀, 北松瑞生, 星野愛可里, 山口祐史, 宮澤正顯, 博多義之
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会
  • [学会発表] ペプチドファスナーによる機能性ペプチドと細胞膜透過ペプチドの連結および細胞内活性評価2021

    • 著者名/発表者名
      井上健, 北松瑞生, 山下和真, 宮澤正顯, 博多義之
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会

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公開日: 2021-12-27  

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