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2021 年度 実施状況報告書

ペプチド核酸ジッパー法による機能性ペプチドの細胞内運搬およびその活性保持

研究課題

研究課題/領域番号 20K05714
研究機関近畿大学

研究代表者

北松 瑞生  近畿大学, 理工学部, 准教授 (60379716)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードペプチド / ペプチド核酸 / 細胞内運搬ペプチド / オートファジー
研究実績の概要

本研究は、活性を損なうことなく機能性ペプチドを細胞内へ運搬することを目的としている。そのためにペプチド核酸(以下PNA)を介して機能性ペプチドと細胞内運搬ペプチド(以下CPP)を連結-分離させる方法(PNAジッパー法)を開発している。本法によって運搬された機能性ペプチドの細胞内での活性を評価して、その有用性・汎用性を調べている。本法は細胞表面上ではなく細胞内の物質を標的にすることができ、その成果は革新的な医薬開発につながる。
今年度は、下記のように研究を実施した。
①ペプチド合成;前年度の研究成果より機能性ペプチド修飾PNAが比較的水溶性が低いのではという懸念があらわれたので、これらの水溶性の向上を目的として機能性ペプチドとPNAの間にエチレングリコールリンカーを導入したペプチドを合成した。
②細胞内での活性評価;①で合成したエチレングリコールリンカーを導入した機能性ペプチド(オートファジー誘導ペプチド)修飾PNAとCPP修飾PNAを用いてオートファジー誘導評価を行ったところ、エチレングリコールリンカーを挿入してもオートファジー誘導の能力はPNA間の鎖長に依存することが示唆された。一方で、エチレングリコールリンカーを導入してもそのオートファジー誘導能力には、大きな変化は見られなかったともいえた。
③新規ペプチドジッパーの開発;PNAジッパーに代わる新しいペプチドリンカーとしてヘテロ二量体化ロイシンジッパーのロイシン部分をナフチルアラニンに置換したペプチドリンカーを合成し、そのハイブリッド形成能力について検討した。また、このヘテロ二量体化ロイシンジッパーのヘリックス含率を向上かさせるためにステイプル化にも挑戦した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、オートファジー誘導ペプチドとPNAとの間にエチレングリコールリンカーを挿入したペプチドジッパーを合成した。PNAの鎖長は4,6,8,10,12量体を選択し、いずれのペプチドジッパーもうまく合成できることが、MALDI-Tof MassおよびHPLCより確認できた。これらのオートファジー誘導ペプチド修飾PNAとCPP修飾PNAとにより細胞内導入を行なったところ、両者はハイブリッドを形成することでうまく細胞内に運搬されることが蛍光顕微鏡により確認できた。さらに両者の混合物によるオートファジー誘導評価では、PNAの鎖長に応じたオートファジー誘導に関する依存性があった。
我々はまた上記のPNAジッパーに代わる新しいペプチドジッパーの開発のため、ヘテロ二量体化ロイシンジッパーのロイシン部分をナフチルアラニンに置換した新規ロイシンジッパーの合成を行なった。その結果、ナフチルアラニンを含む新規ロイシンジッパーは、従来のロイシンジッパーよりもハイブリッドの形成能力が高くなることが蛍光スペクトルの結果より明らかになった。また、ナフチルアラニンのコンフィグレーションによってもその形成能力に変化があることを明らかにした。我々はさらに異なる化学構造ももつペプチドジッパーの開発も開始し、ヘテロ二量体化ロイシンジッパーのヘリックス含率を向上させるためのステイプル化を実施した。このステイプル化ロイシンジッパーはうまく合成できたが、残念ながら現時点ではハイブリッドの形成にまでは至っていない。

今後の研究の推進方策

PNAジッパー法やヘテロ二量体化ロイシンジッパー法をさらに拡張し、新規のペプチドジッパー法の開発を推進したい。そのためにロイシンよりもさらに強いハイブリッド能力を示すことが期待できる非天然アミノ酸を導入したペプチドジッパーやステイプル化したペプチドジッパー、環状化したペプチドジッパーの開発を行ないたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ペプチドジッパーによるオートファジー誘導ペプチドと細胞内運搬ペプチドの合成および評価2021

    • 著者名/発表者名
      石井康稀, 北松瑞生, 宮澤正顯, 博多義之
    • 学会等名
      日本ケミカルバイオロジー学会第15回年会
  • [学会発表] 非天然アミノ酸を含むヘテロ二量体化ロイシンジッパーを用いた機能性ペプチドの細胞内運搬2021

    • 著者名/発表者名
      中村高広, 井上健, 藤本翔夢, 北松瑞生, 宮澤正顯, 博多義之
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会

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公開日: 2022-12-28  

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