研究課題/領域番号 |
20K05719
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
冨田 辰之介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60415718)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 時計遺伝子 / エピジェネティック |
研究実績の概要 |
昨年に引き続き、5-azaC処理をしたHepG2を用いて実験を行った。4週間azaC処理下培養したHepG2について、遺伝子発現について、網羅的解析で得られたデータについて評価を行った。 コントロールと比較し、遺伝子発現が上昇したもの、下降したものそれぞれについてデータを精査した結果、時計遺伝子の代表的なものについては、発現が顕著に上昇したり下降したりしたものを見いだせなかった。一方で、時計遺伝子のマイナーな構成遺伝子については、2倍以上の発現レベルの上昇を見せたものは2つ、1/2未満に発現レベルが落ちたものについては、4つ程度見つける事が出来た。 5-azaCの作用機序から考えると、遺伝子の発現上昇に関しては、もともとその遺伝子のプロモータ領域がメチル化されていて、この薬剤でその機序が解除されたことが考えられる。一方で、発現が抑制された遺伝子については、その遺伝子にのプロモータのメチル化解除ではなく、元々その遺伝子の発現を抑制している因子がメチル化によって発現が抑制されており、5-azaCの負荷によってメチル化が解除された結果、抑制因子が発現することによって、標的となる遺伝子の発現が抑制されるようになったとも考えらえる。このようにBMAL1リズム発現が5-azaC負荷によって回復してくるメカニズムは単純なものではないと考えられる。 いずれにしても、今後は、今回上がってきた時計関連の候補遺伝子の発現解析をqPCRなどによって行い、その中でも顕著な変動がみられる遺伝子について、その発現メカニズムなどの解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現レベルで、BMAL1リズム発現が5-azaC負荷によって回復してくるメカニズムについて、どの遺伝子をターゲットに検討するか見通しが立てられてきたから。
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今後の研究の推進方策 |
qPCRなどを用いて、アレイで発現変動が認められた時計遺伝子関連遺伝子の発現状況を検討するとともに、その遺伝子の発現メカニズムにまで踏み込む。
一方で、単に時計遺伝子関連遺伝子のメチレーションの解除と言う単純なモデルでこの現象が説明できるとは考えにくいので、それら遺伝子の発現を制御している因子にまで解析ターゲットを広げていく必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は想定よりも消耗品購入などの必要が無かったことと、旅費を使わなかったことが、計画と乖離した部分である。今年度多くなった残額は、遺伝子発現解析を多く行うなど、昨年度までの結果を踏まえて、若干計画を修正して行う実験などに使って行きたい。
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