研究課題/領域番号 |
20K05720
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
梅村 舞子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (00552259)
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研究分担者 |
渡邊 秀樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (90422089)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リボソームペプチド / 糸状菌 / 環化因子 / 環状ペプチド |
研究実績の概要 |
本研究課題では、Fungi界に広く分布するペプチド環化因子UstYaホモログ(旧DUF3328)の反応機構解明を目的としている。昨年度の宿主・発現系・配列検討により、本因子は大腸菌で発現するが、大部分が不溶化成分にいってしまうことが分かった。そこで、Hisタグをつけた当該タンパク質の、不溶化成分からのリフォールディング条件検討を行った。本タンパク質は非常に凝集しやすく、透析中に再度沈殿する傾向が強かったが、pHその他を検討することで、主に単量体ないし二量体程度に分散している条件を見出した。そこで、本条件下でリフォールディングしたタンパク質を用いて、元の糸状菌株における基質であるペプチドとのin vitro反応実験を行った。基質ペプチドは、元株と同じ11残基のものに加え、両端を種々トリミングした合計4種類を用いた。バッファーおよび金属イオンを各4種類組み合わせた系で30度24時間反応させた後、反応物をLC-MS測定にかけたところ、タンパク質と基質の双方を含む系においてのみ出現するピークが見出されたが、MS/MS測定により、このピークは基質ペプチドの断片であることが分かった。本ペプチド切断は本来の環化過程で起こるとは考えにくい箇所であるため、補因子が欠けている等の理由により、精製タンパク質による非特異な切断が生じたものと考えられる。 糸状菌からの当該タンパク質精製も試みた。昨年度に続く顕微鏡観察により、本タンパク質は糸状菌菌体内の特定のオルガネラに局在することを同定したが、元の配列から膜貫通領域をトリムすると化合物が生産されなくなったため、膜貫通領域を介してオルガネラ局在していると考えられる。そこで、膜貫通領域を残したままHisタグ融合当該タンパク質を糸状菌菌体内から精製しようと試みたが、どの溶出画分にも確認できなかった。次年度、この点の改善に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とするタンパク質の単量体での精製とin vitro反応に加え、機能解析の重要な手掛かりとなる糸状菌細胞内局在の特定までを達成した。
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今後の研究の推進方策 |
糸状菌での、局在オルガネラを分取した上での当該タンパク質精製。可溶化タグを融合した精製とin vitro反応。現在とは異なるUstYaホモログを対象とした発現・精製・反応実験。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね順調に進捗しているが、結晶構造解析を行わなかったため、余剰が生じた。今年度カラム精製等に使用する予定。
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