研究課題/領域番号 |
20K05722
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大好 孝幸 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90639303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アプリロニン / ハイブリッド / アクチン脱重合活性 / サイトファイシン / スウィンホライド / タンパク質間相互作用 |
研究実績の概要 |
海洋天然物アプリロニンAは二大細胞骨格タンパク質であるアクチンとチューブリンのタンパク質間相互作用を誘導し、生成したこれらの三元複合体が鍵となり、前例のない強力な抗腫瘍性を発現する。その詳細についての研究は、天然物自身が誘導化に限界があるため、アプリロニンAを基軸とする単純な構造のハイブリッドアナログを設計する必要があった。アプリロニンAの特異な作用機序に着目すると、アクチン脱重合部位を変換することが効率的な構造活性相関になることが考えられた。そこで、アクチン脱重合天然物の側鎖部を参考にし、合成が容易かつ高活性なアクチン脱重合分子を創出することにした。 アクチン脱重合活性を有する天然物アプリロニンAおよびサイトファイシン類の側鎖部に着目し、これらの側鎖部においてアクチン脱重合活性の必須構造を明らかにすることにした。すなわち天然物の側鎖部から立体化学を変化させたアナログ、官能基を変化させたアナログを多数合成し、アクチン脱重合活性を評価した。 その結果、強力なアクチン脱重合活性の発現には、C29位ヒドロキシ基の立体化学が重要であることが明らかとなった。また、C31位の置換基はアシル基が最適であることもあわせて明らかにした。 さらに、アプリロニンAのマクロラクトン部の構造活性相関研究を行うにあたり、アプリロニンA-スウィンホライドAハイブリッドの新規合成法を開発し、全炭素骨格の構築に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型ハイブリッドのためのアクチン脱重合分子を設計・合成し、活性を持つ化合物を創出できたため。また、マクロラクトン部の構造活性相関も順調に行えているため。
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今後の研究の推進方策 |
開発したアクチン脱重合分子を利用し、新型ハイブリッドを創出する。また、マクロラクトン部の構造活性相関を行いチューブリン結合位置の特定も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延防止のため、実験時間を計画ほど確保できなかったため。実験結果は期待通り進行しているため、令和4年度の物品費に上乗せする。
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