研究課題/領域番号 |
20K05726
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
斎藤 洋平 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 助教 (90723825)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 化学修飾 / 有機ホウ素化合物 |
研究実績の概要 |
ボロキサゾリドンはアミノ酸のアミノ基とカルボキシル基がホウ素原子に結合した5員環状のキレート化合物である。本構造の形成は水存在下でも可能なことから、形成と解離を適切に制御できればアフィニティー精製法などの生物活性分子の標的タンパク質同定法の開発に応用可能であると考えられた。しかしながら、これまでに報告されているボロキサゾリドンの形成温度は80℃以上と高温なため、本条件をそのままタンパク質溶液に適用することは困難であった。 そこで昨年度は形成温度を生理的温度の37℃まで低下させた条件でボロキサゾリドンの形成を試みた。ジアリールボリン酸を複数個合成し、各種アミノ酸との結合を試みたところ、好収率で得られる条件を見出すことに成功した。本年度は基質の適用範囲を拡大させるべく、アミノ酸の種類を追加し、タンパク質を標的とする生物活性化合物についても検討した。その結果、見出した条件では最高95%と極めて高い収率でボロキサゾリドン形成が可能であることが判明した。 続いて本構造の形成が結合タンパク質のアフィニティー精製に応用可能か検討を行った。アフィニティー精製法では一般に生物活性化合物を樹脂担体に固定化する手法が採られる。そこでまず、担体への固定化に必要な構造を有する新規ジアリールボリン酸の合成を試みた。しかしながら、所望の化合物は空気中では不安定なことが判明したため、種々反応条件を検討し、精製工程を見直すことで効率的な取得が可能となった。更に得られたジアリールボリン酸の担体への固定化は問題なく進行するところまで確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はボロキサゾリボン形成における基質の適用範囲の拡大と樹脂担体へ固定化可能な新規ジアリールボリン酸の合成の2項目について成功し、結合タンパク質のアフィニティー精製の実現に向けた準備が整いつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
ジアリールボリン酸固定化カラムを用いた生物活性分子-結合タンパク質のアフィニティー精製の実施。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度からCOVID-19感染拡大に伴い未使用となった旅費計上分であり、それ以外は計画通りに使用できている。感染状況の予測が困難なことから、翌年度は旅費としての使用を考慮せず物品費として早期に執行する。
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