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2021 年度 実施状況報告書

制がん剤耐性獲得過程におけるEMT誘導の分子機序解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K05732
研究機関昭和薬科大学

研究代表者

田代 悦  昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (00365446)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードEMT / TGF-b / シスプラチン / 制がん剤耐性
研究実績の概要

これまで申請者らは、大腸がんLoVo細胞や肺がんA549細胞に白金制がん剤であるシスプラチンを長期暴露すると、制がん剤耐性を獲得すると共に、EMTを誘導することを見出した。そしてさらなる研究の結果、シスプラチンはTGF-bシグナルの活性化を介してEMTを誘導していることを明らかにした。そこで本申請では、シスプラチンによるTGF-bシグナル活性化の解明を目標にしている。本年は、シスプラチンがTGF-bの分泌を促進することでTGF-bシグナルを活性化している可能性について検証した。まずTGF-bのC末端にHisタグとMycタグを付加し、それを発現するレンチウイルスを作成した。続いてこのレンチウイルスをLoVo細胞およびA549細胞に感染させ、TGF-b-Myc-Hisを恒常的に発現する細胞を樹立した。次にTGF-b-Myc-Hisが培地に分泌されるのかを検証するため、培地中に含まれるTGF-b-Myc-Hisをニッケルカラムで回収し、抗Myc抗体を用いたウェスタンブロッティングで確認した。さらに、培地中に分泌されたTGF-b-Myc-Hisが受容体に結合してEMTを誘導できる活性を保持しているのかを検討するため、LoVo/TGF-b-Myc-His細胞の培養液を80℃でインキュベーション後、そのままLoVo細胞やA549細胞に添加した。その結果、LoVo/TGF-b-Myc-His細胞の培養液を添加して2日後には、上皮マーカーであるE-cadherinの発現減少と、間葉マーカーであるN-cadherinの発現上昇が見られ、申請者らが作成したTGF-b-Myc-Hisが機能していることが示された。以上の結果より本年度は、培地中のTGF-bの分泌を簡便に検出できる系の構築に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度も、コロナ渦の影響で研究が予定通り進まなかった。

今後の研究の推進方策

これまで培地中のTGF-bを定量するためにはELISAを用いる必要があり、費用効果が良くなかった。しかしR3年度に作成したLoVo/TGF-b-Myc-His細胞やA549/TF-b-Myc-His細胞を用いれば、培地中のTGF-bの検出が抗Myc抗体を用いたウェスタンブロッティングで検出が可能であり、またHisタグも付加しているためニッケルカラムで回収することも可能である。R4年度は、本細胞システムを用いて、シスプラチンがTGF-bの分泌を促進するのか?またその場合、そのメカニズムを探る計画である。

次年度使用額が生じた理由

R2年度に購入した試薬が残っており、また、所属研究室にある材料で実験を遂行できたため、R3年度は使用額が少なくなった。R4年度は、R3年度に実施した研究を検証するため、ELISAなど高額な試薬を購入し、また7月にはアイルランドへの海外学会への出張も計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Involvement of miR-3180-3p and miR-4632-5p in palmitic acid-induced insulin resistance2021

    • 著者名/発表者名
      Tashiro Etsu、Nagasawa Yumi、Itoh Susumu、Imoto Masaya
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Endocrinology

      巻: 534 ページ: 111371~111371

    • DOI

      10.1016/j.mce.2021.111371

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Androgen receptor antagonists produced by Streptomyces overcome resistance to enzalutamide2021

    • 著者名/発表者名
      Imoto Masaya、Fujimaki Takahiro、Saito Shun、Tashiro Etsu
    • 雑誌名

      The Journal of Antibiotics

      巻: 74 ページ: 706~716

    • DOI

      10.1038/s41429-021-00453-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Narciclasine is a novel YAP inhibitor that disturbs interaction between YAP and TEAD42021

    • 著者名/発表者名
      Kawamoto R, Nakano N, Ishikawa H, Tashiro E, Nagano W, Sano K, Irie M, Ikuta M, Kishi F, Nakane T, Naito M, Itoh S.
    • 雑誌名

      BBA Advances

      巻: 1 ページ: 100008

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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