研究課題/領域番号 |
20K05735
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
浦井 誠 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (20398853)
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研究分担者 |
相澤 朋子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60398849)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異属微生物間相互作用 / コロニー形態変化 / 細胞表層構造 / 構造解析 / 分子機構解析 |
研究実績の概要 |
令和3年度は以下の研究成果を得た。我々がこれまでに様々な環境中から単離してきた、共培養することによりコロニー形態を変化させる異種細菌の組み合わせ複数組について、(1)コロニー形態変化を誘導する複数種の細菌が分泌するシグナル分子の精製を試みた。その結果、単一物質の精製までには至っていないが、活性物質のなかには非常に親水性の高い低分子物質などを含むことが示唆された。現在、これらシグナル分子について、さらに精製を進めている。(2)上記細菌との共培養により誘導されたコロニー形態変化の原因となる細胞表層分子の解析を試みた。その結果、共培養によりこれまでに報告のない新規の多糖を分泌することが示唆された菌種や、既知の細胞表層多糖ではあるもののその生産が促進している菌種、逆に細胞表層高分子物質の生産が抑制される菌種など様々な菌種の存在が示唆された。現在、さらなる解析を進めている。(3)共培養によりコロニー形態変化を誘導された細菌について、接着能や薬剤感受性の変化を検討した結果、単独培養時と比較して変化が認められた。また、共培養により新規構造の多糖を生産する細菌、および、これを誘導する細菌について、ゲノムDNAを抽出、精製し、次世代シークエンサーによるドラフトゲノム解析を行っている。この異属細菌の組み合わせについて、高分解能LC/MS/MSシステムを用いたプロテオーム解析により、共培養時と単独培養時におけるタンパク質発現の比較も試みている。(4)これまでに単離してきた微生物種に加えて、病原性菌も含めた新たな微生物種の組み合わせも見出しており、これらについても解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異種微生物間相互作用を示す培養条件が厳密であったり、新規と考えられる生物活性物質の精製に難航したりしているものの、全体としておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の内容を計画している。(1)異種細菌に対してコロニー形態変化を誘導する細菌が分泌するシグナル分子について、精製度をさらに向上させ、構造解析を試みる。(2)上記細菌との共培養により誘導されたコロニー形態変化の原因となる細胞表層分子について、詳細な構造解析をさらに進め、その生物活性を明らかにする。(3)共培養によりコロニー形態変化を誘導する微生物種の組み合わせについて、プロテオーム解析を進める。(4)共培養によりコロニー形態変化を誘導する新たな微生物種の組み合わせについて引き続き探索するとともに、これら相互作用に関与する活性物質についても解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による昨年度の大学入構禁止に伴う繰越の影響や、購入品納期の遅延などに伴う消耗品購入額の低減のため。予定していた研究課題を引き続き次年度に実施することで使用する。
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