研究課題
環状四次構造を形成するタンパク質に化学修飾を施すことで、その集合状態と集合様式を改変可能であることを発見した。研究対象としたThermococcus kodakaraensis由来ペルオキシレドキシン(TkPrx)は六角形環状十二量体を形成する。このタンパク質において、四次構造の構成単位である二量体の界面に存在する芳香族アミノ酸残基に変異導入すると、疎水性相互作用が破壊され、環状四次構造が解離して二量体となることを見出した。芳香環を除去する変異をかけることで集合体が解離したことから、逆に芳香環を付加することで解離した二量体を集合して四次構造の再構築が可能になると考えた。そこで、TkPrxにシステインを導入した二量化変異体(TkPrxF42C 、TkPrxF76C)をデザインし、化学修飾による芳香環の付加により四次構造の再構築を試みた。変異体に対して2-(bromoacetyl)naphthalene (Naph-Br)を添加し化学修飾を行った。TkPrxF42C、TkPrxF76C変異体に個別にNaph-Brを添加しても野生型TkPrxが形成する環状十二量体には変換されなかったものの、TkPrxF42C、TkPrxF76C変異体の1:1の混合物にNaph-Brを添加したNaph@TkPrxMIXは環状十二量体に相当する分子サイズを示した。クライオ電子顕微鏡による構造解析により、Naph@TkPrxMIXがそれぞれの変異体を交互に配列した特殊な構造を有することが示された。化学修飾により導入した人工分子がアミノ酸残基に替わって相互作用を形成し、半人工のタンパク質集合体を形成することが示された。本内容で論文発表を1件行った。その他、リンゴ酸デヒドロゲナーゼとアセチルキシランエステラーゼに関して論文発表を1件ずつ行った。
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