研究課題/領域番号 |
20K05754
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
須原 義智 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (30297171)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ビタミンK / 神経分化 / 神経幹細胞 / ニューロン / アルツハイマー病 / 脳神経変性疾患 |
研究実績の概要 |
本研究は、幹細胞から神経細胞(ニューロン)への分化を強力に誘導する低分子の「神経分化誘導物質」を創出することを目標としている。我々はこれまでに、リード化合物としてビタミンKを見出し、その側鎖末端部分に脂溶性の官能基を導入した化合物が、天然より今日強力な分化誘導作用をもつことを見出してきた。そして、医薬シーズになり得る強力な活性化合物を新たに設計・合成してスクリーニングを行い、病態モデル動物に有効な神経分化誘導物質の創出を目指している。 今年度は前年度の検討結果に引き続き、標的タンパク質に強く結合すると予想される化合物のデザイン・合成と共に、これまでの我々の知見から、側鎖末端部分に導入する置換基に、適度な脂溶性と嵩高さを持たせた化合物の合成を行った。このような側鎖末端に嵩高い置換基を導入した化合物に強い分化誘導活性が期待できることは、計算化学の手法であるQSAR (quantative structure activity relationship)による検討から明らかになっている。得られた化合物について、神経幹細胞の神経細胞への分化誘導活性の評価を行った。その結果、嵩高い置換基を導入した化合物は、天然のビタミンKより高い分化誘導活性を示し、さらにそれらの置換基の特徴や傾向が示された。現在はさらなる誘導体の合成を行うと同時に、これらの合成した化合物の神経分化誘導活性を調べ、in vitroだけでなく、in vivo試験でも有効な化合物の開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビタミンKの誘導体合成においては、計算化学の手法を利用して検討した結果、側鎖末端に嵩高い置換基を導入すると、神経細胞への分化誘導活性が高くなることが明らかとなった。そこで、さらに側鎖末端部分に様々な嵩高い置換基を導入した化合物を合成した。得られた化合物の活性を調べた結果、活性を向上させる嵩高い置換基の種類や傾向がわかってきた。化合物の合成は予定通り進んでいるため、概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
さらなる誘導体の合成を行うと同時に、合成した化合物の神経分化誘導活性を調べ、in vitorレベルで活性の高い化合物を見出す。その後、in vivoへの実験に応用可能な高活性化合物を見出すことを目標にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス 感染症の拡大のため、学会発表の出張費に使用する予定であった費用を使用しなかったため。
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