研究課題/領域番号 |
20K05756
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
増田 亮 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (90632159)
|
研究分担者 |
小出 隆規 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70322253)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 3重らせんペプチド / スクリーニング / ペプチド創薬 / コラーゲン |
研究実績の概要 |
ペプチドは標的分子に対して高い親和性や特異性を発揮するポテンシャルを有しているが、直鎖のペプチドは生体内でプロテアーゼによって分解されてしまう。近年では生物活性ペプチドのスクリーニング法として、プロテアーゼによる認識を避けるため構造を固定化した環状ペプチド等のライブラリを採用し、そこから生物活性ペプチドを取得する方法が主流の一つになっている。 本研究では、分解抵抗性ペプチドであるコラーゲン様の3重らせん構造を形成するペプチド(3重らせんペプチド)のライブラリを構築し、そこから生物活性ペプチドの探索を行った。多様でランダムな3重らせんペプチドのライブラリを構築するために、生物発現系である酵母を利用することとした。酵母3重らせんペプチドライブラリをもちいて、様々なコラーゲン結合性タンパク質を標的とした結合ペプチドのスクリーニングを行った。それらのスクリーニングから得られた酵母クローンのランダム領域の配列を解析したところ、各タンパク質の既知の結合モチーフが濃縮された一方で、新規の結合配列候補を取得できた。さらに取得配列を含む3重らせんペプチドの一部は、コラーゲン中の既知の結合配列よりも高い標的特異性を示した。また次世代シークエンサーをもちいて本ライブラリのランダム領域のアミノ酸分布を調査し、そのアミノ酸分布を天然コラーゲンのものと比較した。その結果、我々が構築した酵母ライブラリのアミノ酸はランダムな分布を取っていた。一方で天然コラーゲンのそれは、3重らせんの熱安定性向上に寄与するアミノ酸が多く含まれていたが、不安定化させるアミノ酸はほとんど含まれていなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の標的タンパク質において妥当な結果を得ることができているため。くわえて、スクリーニングによって得られた配列のいくつかは、コラーゲン中の既知結合配列とは異なる生物活性を示しており、新規の生物活性ペプチドを得るためのシステムとして機能していることが示唆されている。
|
今後の研究の推進方策 |
さらに他のコラーゲン結合性タンパク質へのスクリーニングを行うと同時に、本システムの汎用性を向上させるために、コラーゲン結合性タンパク質に限定されないスクリーニングも行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において当該年度4月~6月に実験をすることができなかったため。繰越金を含めた助成金は、当初の予定通り生物学的な実験の消耗品やDNAシークエンス解析のための外注費に主に充てることを計画している。
|