ペプチドは低分子化合物と抗体の中間の分子量を有している。したがって、低分子医薬品のように安定して大量に供給できる利点と、抗体医薬の強い薬効と少ない副作用の利点を併せ持つことができる。しかし、ペプチドは一般的に生体内で酵素による分解を受けやすい。我々は、コラーゲン様の3重らせん構造を形成するペプチドが生体内で酵素による分解を受けにくいことを発見した。したがって、生物活性を有する3重らせんペプチドは、医薬品リードとなりえる。 タンパク質に結合するペプチドを取得するためには、ランダムペプチドライブラリからのスクリーニングが有効な手法である。しかし、これまでに大規模な3重らせんペプチドのランダムライブラリが構築された報告例はない。 申請者は本申請研究において、酵母内に酵母内に3重らせんペプチドのランダムなライブラリを構築した。さらに、構築したライブラリから2-ハイブリッド法にてタンパク質に結合するペプチドを選択する手法を確立した。本手法をもちいて、これまでに複数のコラーゲン結合性タンパク質を標的としたスクリーニングを行ってきた。その結果、色素上皮由来因子(PEDF)やフォン・ウィルブランド因子(VWF)、インテグリンに結合する新規の3重らせんペプチドをす得することができた。さらに、それらの結合親和性をin vitroで評価したところ、天然の結合配列を有するペプチドよりも標的に対して強い親和性を有するものがあることがわかった。
|