研究課題/領域番号 |
20K05759
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
峯岸 ゆり子 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター プロテオミクス解析グループ, 研究員 (20621832)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抗原ペプチド / イムノペプチド / ラベルフリー定量 |
研究実績の概要 |
当該研究者は初年度までに、食道癌、肺がん、大腸癌を含む3種類のサンプルについて、イオンモビリティを応用した質量分析法、およびそれら個々のサンプルに固有に含まれるがん特異的変異情報を反映させたデータベースを用いたカスタムデータベース検索による解析を行うことで、HLA-Class Iのうち、日本人の多くが有する A*24:02型に対する拘束性を有する抗原ペプチドとして7257種類を同定している。現在は前述の3種類のサンプルに加えて、さらに6細胞のがん細胞株を細胞バンクより新規に購入し、培養・サンプル回収したところであり、同様の解析を継続して行なっているところである。 また、抗原ペプチドの解析にも用いているイオンモビリティを応用した質量分析法をもとに条件検討を行い、細胞株サンプルからおよそ8000タンパク質を超える同定効率と定量値の獲得を可能とする、プロテオームのラベルフリー定量解析を行える系についても確立した。これを用いることで、細胞内のタンパク質量と抗原提示されている抗原ペプチドの量的関係について明らかにすることができる。 今後、さらにA*24:02型のHLAを有するサンプルの解析を行い、プロテオーム解析についても進めることで量依存的な抗原ペプチドと、量非依存的な抗原ペプチドについての分類を行う。 また、一部先行してプロテアソーム回収キットを用いたサンプルないに、PSMB8、およびPSMB9が含まれていることをウェスタンブロットにより確認済みであり、今後はこのサンプル内にプロテアソーム拘束性ペプチドが含まれているかどうかについても質量分析によって明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ申請時の計画書通りに進んでいるが、一部の細胞株では細胞増殖速度が非常に緩慢であるため、当初全ての解析を細胞株で行う予定であったがそれを一部がん組織サンプルを用いた解析を含めることについて現在検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の研究計画にある通り、A*24:02拘束性抗原ペプチドの同定をさらに進め、またそれらプロテオームのラベルフリー定量を行い、提示抗原と細胞内タンパク量との関連について明らかにする予定である。また、プロテアソーム拘束性のソースペプチドについては、質量分析用のサンプル調整について条件検討を行い、こちらについても同定を進めていく予定である。
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