研究課題
当該研究者は初年後までにイオンモビリティを応用した質量分析法を用いて、抗原ペプチドの分析を行い、HLA-A*24:02型を有する細胞株として、食道がん、肺がん、大腸がんから分析を行っており、次年度にはさらに細胞株を追加・継続して分析を行なった。その結果、新規に追加した細胞株である胃がん、膵臓がん、神経膠芽腫、骨髄腫の細胞株を含む、計9種類の細胞株から、1細胞株あたり平均して7600ペプチド前後が同定され、そのうちA*24:02拘束性ペプチドは平均して3700ペプチド前後であった。これらを追加すると次年度までに同定した抗原ペプチドは68744種類となり、そのうちHLA- A*24:02拘束性ペプチド配列として合計11092 種類を同定した。これら7つの異なるがん種、計9種類の細胞株のうち、全ての細胞株において共通して認められたペプチド配列は723種類であった。これら723種類の抗原ペプチドのソースタンパク質について初年度までに確立した、イオンモビリティを用いたラベルフリー定量が可能なプロテオーム解析を最終年度に行うべく、現在必要なサンプルの調整を行なっている。また、一部臨床検体を用いた分析を行い、そこから4405種類のA*24:02拘束性ペプチドについても同定し、これを加えると合計で13508種類のA*24:02拘束性ペプチドの同定を達成したこととなる。またプロテアソーム拘束性ペプチドにおけるユビキチン修飾の関係について調べるため、質量分析結果の検索条件についての検討を行い、検索条件の最適化を行なっている。
2: おおむね順調に進展している
研究室内における質量分析器の利用状況が混雑している関係で、ラベルフリー定量用のプロテオーム分析が未だ済んでいないものの、必要なデータ取得は概ね順調に進んでいる。
抗原ペプチドを同定したサンプルからプロテームラベルフリー定量分析を行い、提示抗原との量的関係について明らかにする。またさらに、そこにプロテアソーム拘束性ペプチドの同定を進めることで、提示される抗原との間での量的関係と、ユビキチン修飾の関係について相関解析を行い、抗原提示の律速因子としての関連性について検討を行う。
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bioRxiv
巻: 10.1101 ページ: 439118
10.1101/2021.04.09.439118
Journal of Reproductive Immunology
巻: 148 ページ: 103410
10.1016/j.jri.2021.103410