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2022 年度 実績報告書

HLAクラスI抗原ペプチドの細胞内抗原プロセシング律速要因についての解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K05759
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

峯岸 ゆり子  公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター プロテオミクス解析グループ, 研究員 (20621832)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードイムノペプチド / 抗原ペプチド / ネオ抗原 / HLA / 質量分析 / イムノペプチド / ドライバー変異
研究実績の概要

当該研究者はこれまで臨床生検のような少量のサンプルから十分な深度でイムノペプチドを検出することは困難であった質量分析法の改良版として、イオンモビリティーを用いた高分解能質量分析計(DIM-MS)を導入し、その分析条件を至適化することで検出感度を大幅に向上させることに成功した。最終年度では、その手法に患者個人のゲノム情報から作成したタンパク質データベースを用いたペプチドゲノミクスアプローチを用い、実際の臨床検体からドライバー変異を有するネオ抗原を同定した。その結果をもとにさらに細胞株を用いた分析を行い、新たに2種のドライバー変異を有する抗原配列を同定した。ドライバー変異は細胞のがん化開始に重要な役割を持つ変異であり、これを獲得したがん細胞がさらに様々な変異を追加獲得することでより複雑ながん細胞の多様性が生じることが知られている。このように、ドライバー変異を有するネオ抗原はがん化初期より腫瘍形成に寄与する変異であることから、腫瘍塊においてより多くのがん細胞において高頻度に共通して提示される抗原であると考えられており、より多くの患者間で汎用性のあるがん免疫療法について模索する際に非常に有用な抗原候補となりうると考えられている。これまで、質量分析によるイムノペプチドミクスを用いた分析で、内在性に発現したソースタンパク/ペプチド由来で、自然発生的に抗原提示されているドライバー変異を有するネオ抗原を直接同定できた報告例は非常に限られており、特に、固形がんである大腸がん臨床組織を用いたイムノペプチドミクスによるドライバー変異を有する抗原同定の成功例としては本研究が先駆けた報告例となったと言える。また、得られたイムノペプチド情報からは腫瘍において特徴的なプロセシング情報も得られており、これは抗原提示に関わる細胞内プロセシングにおいて未知の機序があることを示唆するものであった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Frontiers in mass spectrometry-based clinical proteomics for cancer diagnosis and treatment2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshimi Haga, Yuriko Minegishi, Koji Ueda
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 114 ページ: 1783-1791

    • DOI

      10.1111/cas.15731

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Differential ion mobility mass spectrometry in immunopeptidomics identifies neoantigens carrying colorectal cancer driver mutations2022

    • 著者名/発表者名
      Yuriko Minegishi, Kazuma Kiyotani, Kensaku Nemoto, Yoshikage Inoue, Yoshimi Haga, Risa Fujii, Naomi Saichi, Satoshi Nagayama, Koji Ueda
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 5 ページ: 831

    • DOI

      10.1038/s42003-022-03807-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] An effort to catalog the cancer driver mutation-carrying neoantigens for the frontier of immunotherapy2022

    • 著者名/発表者名
      Minegishi, Y., Kiyotani, K., K, Nemoto, K., Nagayama, S., Ueda, K.
    • 学会等名
      Human Proteome Organization World Congress (HUPO2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Explore the immunopeptidome for shared neoantigen by differential ion mobility-mass spectrometry2022

    • 著者名/発表者名
      峯岸ゆり子、芳賀淑美、清谷一馬、長山聡、植田幸嗣
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
    • 国際学会
  • [学会発表] 微分型イオン移動度質量分析によるがん免疫医療のためのイムノペプチドームの探索2022

    • 著者名/発表者名
      峯岸ゆり子、清谷一馬、長山聡、植田幸嗣
    • 学会等名
      日本プロテオーム学会
  • [図書] 医用工学ハンドブック2022

    • 著者名/発表者名
      峯岸ゆり子、植田 幸嗣
    • 総ページ数
      475
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
    • ISBN
      4860437357
  • [備考] がん研究所 新着情報

    • URL

      https://www.jfcr.or.jp/laboratory/news/9739.html

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公開日: 2023-12-25  

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