研究課題
R4年度には、主に以下の知見が得られた。1)飼料イネの連作をやめて食用米に作付を戻すと、土壌のカリウム肥沃度はどのように変化するかを評価するために、2020年と2021年の5月に定点水田圃場(8圃場、39地点)から表層土(0-15 cm)、2022年の5月には表層土と下層土(15-30 cm)を採取し、カリウム含量を形態別に測定した。その結果、飼料イネ連作水田から食用米へ作付を戻すと、表層土の交換態Kは回復したが、非交換態Kは回復しなかった。具体的には、2018年と2019年に飼料イネから食用米に作付を戻した飼3圃場と飼4圃場の2018→2020→2021→2022年の交換態K含量は、飼3が62→164→182→200 mg/kg、飼4が113→201→220→212 mg/kgと回復し、非交換態K含量は、飼3が296→263→202→178 mg/kg、飼4が331→356→275→251 mg/kgと交換態Kとは逆に減少した。一方、2022年に採取した下層土の交換態Kと非交換態Kは同年に採取した表層土と同等であり、いずれも飼料イネ連作の影響を受けていた。また、食用米へ作付を戻すと交換態Kのみ回復しており、非交換態Kの回復は不明瞭であった。2)2021年10月に8筆の定点圃場から採取した表層土をポットに充填し、数段階の石灰施用処理を設けたコムギ栽培試験を実施した。その結果、土壌の初期pHが5.5の場合は石灰施用が不要だったのに対して、初期pHが5.1~5.2の場合は石灰施用によって地上部乾物重が増加した。地上部乾物重の増加は主に茎数の増加によるものであり、石灰施用による初期生育の改善が重要であることが示された。3)定点圃場のうち土壌pHが最も低かった圃場で苦土石灰施用試験を各処理1連で行い、圃場条件での苦土石灰施用効果を予備的に確認できた。
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日本土壌肥料学雑誌
巻: 93 ページ: 384~391
10.20710/dojo.93.6_384