研究課題
基盤研究(C)
必須元素ホウ素の欠乏により植物細胞が障害を受ける機作を明らかにするため、液体培養したシロイヌナズナ幼植物の培地からBを除去した際の初期応答を解析した。その結果、根端伸長領域の細胞壁強度は処理後20分以内という短時間で低下することが明らかとなった。またこの処理に伴い細胞壁ペルオキシダーゼが活性化しスーパーオキシドの生成量が増加すること等、ホウ素欠乏で細胞に酸化障害が発生する機作の解明につながる知見が得られた。
植物栄養学
土壌に十分量のホウ素が含まれず、ホウ素欠乏が作物生産の制限要因となっている地域は世界各地に存在する。本研究では、ホウ素欠乏で細胞壁ペルオキシダーゼが活性化しスーパーオキシドが過剰生成することを示す証拠が得られた。スーパーオキシドを含む活性酸素分子種の蓄積はホウ素欠乏障害の直接の原因物質と推定される。本研究の成果はその生成機作の解明に資するものであり、ホウ素欠乏障害の回避法の開発や欠乏耐性品種の作出につながる可能性がある。