研究課題/領域番号 |
20K05777
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
野副 朋子 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (90590208)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 鉄 / ムギネ酸 / ニコチアナミン / イネ科植物 / 石灰質土壌 / 鉄欠乏 |
研究実績の概要 |
ニコチアナミン酵素遺伝子と緑色蛍光タンパク質遺伝子の融合遺伝子を遺伝子導入したOsNAS2-sGFPイネを用いて、鉄欠乏が根のどこで感知されるか調べた。OsNAS2-sGFP導入イネと野生型株を鉄十分条件、鉄欠乏条件下で水耕栽培を行い、鉄欠乏開始時から0,2,4,7,9日目に根を採取した。採取した根を固定し、クリアシーを用いて透明化を行い、蛍光顕微鏡で観察した。蛍光は、主根では、鉄欠乏2日目より根端に近い領域で観察され始め、鉄欠乏が進むと蛍光が観察される領域が広がった。また側根では主根に比べて蛍光が観察され始める時期が遅かった。共焦点レーザー顕微鏡により、根の基部、根毛領域、伸長域におけるOsNAS2-sGFP融合タンパク質の細胞内局在を調べた。OsNAS2-sGFP融合タンパク質の蛍光が観察される細胞は、根毛が発達した領域で多かった。また、顆粒状の大きさ細胞の種類により異なる傾向が見られた。さらに、Structured Illumination and Photoactivated Localization Microscopy(SIM))により、OsNAS2-sGFP融合タンパク質の細胞内局在を詳細に調べた。OsNAS2-sGFP融合タンパク質の顆粒状の蛍光は、核に付着するものが多く見られた。この特徴は小胞体と一致する。このことはムギネ酸類がムギネ酸顆粒と名づけられた細胞内の小胞で合成され、小胞輸送により細胞膜付近に輸送されるという仮説と一致する。また、OsNAS2-sGFP融合タンパク質の蛍光が核内にも観察されることを見出した。ムギネ酸類やムギネ酸類の前駆物質であるニコチアナミンは鉄恒常性維持にも関与している可能性があることから、OsNAS2-sGFP融合タンパク質の核局在に何らかの役割がある可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はコロナ禍により大学での講義が全面オンデマンドとなったため、動画授業ファイルの作成に多くのエフォートを割かなければならなくなり、研究に充てるエフォートが予定よりも少なくなった。さらに、緊急事態宣言により、一時的に実験施設に立ち入りができなくなったため、実験計画を途中で中断せざるを得なくなった。
|
今後の研究の推進方策 |
オンデマンド講義の作成に慣れてきたため、研究に充てるエフォートの確保ができるようになってきたが、まとまった時間を確保するのが難しい状況が続いている。まとまった時間がなくてもできる植物の栽培を中心に研究を継続する。具体的には、NA合成欠損変異体クロロネバの接ぎ木による種とりを行い、植物種子の確保を行う。また、前ゲノム配列の解読されたコムギの遺伝子解析を行い、タルホコムギの遺伝子解析につなげる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ禍により大学での講義が全面オンデマンドとなったため、動画授業ファイルの作成に多くのエフォートを割かなければならなくなり、研究に充てるエフォートが予定よりも少なくなった。さらに、緊急事態宣言により、一時的に実験施設に立ち入りができなくなったため、実験計画を途中で中断せざるを得なくなった。そのため、次年度使用額が生じた。オンデマンド講義の作成に慣れてきたため、2021年度は研究に充てるエフォートの確保ができるようになってきたが、まとまった時間を確保するのが難しい状況が続いている。まとまった時間がなくてもできる植物の栽培を中心に研究を継続する。具体的には、NA合成欠損変異体クロロネバの接ぎ木による種とりを行い、植物種子の確保を行う。また、前ゲノム配列の解読されたコムギの遺伝子解析を行い、タルホコムギの遺伝子解析につなげる。
|