研究課題/領域番号 |
20K05777
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
野副 朋子 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (90590208)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 鉄 / ムギネ酸類 / ニコチアナミン / イネ科植物 / 鉄欠乏 / 石灰質土壌 |
研究実績の概要 |
ムギネ酸類やニコチアナミン(NA)は植物が土壌中の難溶性三価鉄を吸収して、植物体内の必要な部位に輸送するために必要な鉄キレーターである。作物の鉄欠乏は土壌に豊富に存在する鉄が不溶態になりやすいために生じることから、肥料での解決が難しく、農業上深刻な問題となっている。ムギネ酸類やNAの合成量は植物の鉄欠乏耐性能と正の相関があり、鉄欠乏シグナルの発生にも関与していることが見出されている。本研究は、①安定同位体ラベルムギネ酸類及びNAの植物体内・細胞内動態の解析、②NA合成酵素と緑色蛍光タンパク質GFP融合遺伝子を導入したイネを用いたムギネ酸類・NAを介した鉄欠乏シグナル感知機構の解析、③NAを合成する分裂酵母の解析、④タルホコムギのムギネ酸類の解析を行う。ムギネ酸類やNAを介した、植物の鉄欠乏感知機構を明らかにし、遺伝子組換え技術を用いずに作物の鉄欠乏による生育阻害を改善する新しい戦略の構築を目指している。 2021年度は、タルホコムギを水耕栽培し、鉄欠乏処理を7日間行い、根の浸出液を採取し、高速液体クロマトグラフィーによりアミノ酸分析を行った。解析したタルホコムギは全てにおいて、ムギネ酸類としてデオキシムギネ酸を最も多く分泌した。いくつかの系統の根浸出液においてヒドロキシムギネ酸と類似した物質が検出された。また、鉄欠乏処理7日目における葉のSPAD値、金属(鉄、銅、亜鉛、マンガン)含量を測定した。SPAD値、金属含量ともに品種間で差が見られた。今後さらなる解析を行う予定である。また、NA合成欠損変異体クロロネバの接ぎ木による種とりを行い、植物種子の確保を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年2月に出産をしたため。出産を控えて母体の負担を軽減する必要が生じたため、身体に負担のかかる実験は延期せざるを得なかった。また、産休期間は研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は研究サバティカルを取得して研究に専念する予定である。これまでの成果をまとめて執筆することで、研究の整理と展望を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年2月に出産をしたため、実験計画に変更が生じたため。2022年度はサバティカルを取得して研究に専念し、変更していた実験を行う。
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