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2022 年度 実績報告書

核はなぜ分解されないのか?-糸状菌に学ぶヌクレオファジーの分子機構-

研究課題

研究課題/領域番号 20K05783
研究機関東京大学

研究代表者

有岡 学  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20242159)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードオートファジー / 核 / 麹菌 / ヒストンH2B-EGFP / 液胞プロテアーゼ
研究実績の概要

今年度はヒストンH2Bの分解に関わる液胞プロテアーゼの同定を試みた。出芽酵母ではPep4とPrb1がオートファゴソーム膜の分解に関わること、Prb1はPep4によって活性化することから、まず麹菌Pep4オルソログであるPepEの遺伝子破壊株を取得し、オートファジーへの影響を調べた。その結果、予想に反しpepE破壊株においてヒストンH2B-EGFPやEGFP-AoAtg8の飢餓時の分解は野生株のそれとほとんど変化がなかった。また、オートファジーが欠損した場合に見られる表現型である気中菌糸および分生子形成の欠損はpepE破壊株では全く見られなかった。これらの結果から、PepEは麹菌においてオートファジーには関与しないと結論した。一方PRB1オルソログであるAoprb1の破壊株では気中菌糸・分生子形成は著しく低下しており、オートファジーが欠損しているものと考えられた。しかしヒストンH2B-EGFPやEGFP-AoAtg8の分解はさほど低下していなかった。これは、液胞に蓄積したオートファゴソーム膜が不安定で、細胞抽出液調製中にオートファゴソーム膜内に蓄積した基質の分解が起こるためであると考えられた。以上から、麹菌ではオートファジーにおける液胞プロテアーゼの役割が酵母と異なることが分かった。
併行して、ヌクレオファジーの様子の顕微鏡観察を試みた。蛍光顕微鏡による観察ではYPY7のオルソログであるAoypt7破壊株において核を取り囲んだオートファゴソームが細胞質に蓄積する様子が、ATG15のオルソログであるAoatg15株において核を取り囲んだオートファジックボディが液胞内に蓄積する様子がそれぞれ認められた。さらに透過型電子顕微鏡による観察でより鮮明な画像を取得することに成功した。これらのことから麹菌のヌクレオファジーによる核の分解は液胞で行われることが確認された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 麹菌Aspergillus oryzaeにおける核を丸ごと分解するヌクレオファジーの分子機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      橋本 真宇、山口 誉登、木村 聡、有岡 学
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
  • [学会発表] 麹菌Aspergillus oryzaeのクラスVI GPCRはRGSドメインを介したGタンパク質の不活性化を通じて菌核形成を負に制御する2023

    • 著者名/発表者名
      坂元 勇月、金 東珉、有岡 学
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
  • [学会発表] 麹菌における核を丸ごと分解するヌクレオファジーの分子機構の解析2022

    • 著者名/発表者名
      橋本 真宇、黄梅 昌朗、有岡 学
    • 学会等名
      第21回糸状菌分子生物学コンファレンス

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公開日: 2023-12-25  

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