1. Cip1の活性中心アミノ酸残基の決定,CBM1の役割を検証 Cip1活性中心アミノ酸残基のシングル変異体を作製し,その同定を行ったところ,活性部位クレフトに存在する3つのアミノ酸残基をそれぞれアラニンに変化させた変異体は,いずれもセルロース分解の促進効果が消失した。このことから,これら全てのアミノ酸残基はCip1のセルロース分解促進効果に関与していることがわかった。また,CBM1を欠損させたCip1は促進効果が確認されたものの,野生型Cip1に比較してその効果は減少していた。このことから,Cip1のCBM1は促進効果に必須ではないが重要な役割を果たしていることがわかった。 2. Cip1遺伝子欠損株の作製と解析 Cip1遺伝子欠損株は各種炭素源を含む培地において,野生株と同等の生育速度であった。また,Cip1遺伝子欠損株はCip1タンパク質が欠如しているが,生産されるセルラーゼの種類と量に変化はなかった。一方,Cip1遺伝子欠損株の培養液のセルロース分解活性は,野生株と比較して12%低下していた。また,このときLPMOの反応生成物である酸化セロオリゴ糖の生成量が減少しており,Cip1がLPMOの反応を促進していることがわかった。 3. Cip1はLPMOの反応を促進するのか 本菌由来のLPMO9AにCip1を添加することでLPMOの反応生成物であるセロオリゴ糖や酸化セロオリゴ糖の量が増加し,Cip1はLPMO9Aの反応を促進することを明らかにした。この反応促進効果は,Reducing agentの種類に依存せずに生じることもわかった。
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