現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1-2年目に実施を予定していた以下の3つの課題については検証を終えている。さらに、染色体異数化によるリボソームタンパク質遺伝子欠損株の増殖速度回復や、DNA損傷ストレス耐性低下などの現象も見出しており、おおむね順調であると言える。 1.DNA損傷ストレスがリボソームの複合体形成状態に与える影響; 40, 60Sサブユニットと80S、ポリソームを分離し、同時に観察可能な条件を設定した。その条件においてMMS存在下でのリボソーム形成状態を観察し、非添加時と比較してポリソームフラクションの低下と80Sフラクションの増加を確認した。 2.DNA損傷ストレスによるリボソームタンパク質の構成変化解明; MMS添加・未添加の条件で培養した細胞から調製した80Sとポリソームフラクションに含まれるタンパク質を二次元電気泳動で比較したが、泳動パターンに大きな差は認められなかった。しかしいくつかのリボソームタンパク質において、DNA損傷ストレス条件下では、パラログタンパク質と一部入れ替わったリボソームの存在が示唆された。 3.遺伝的スクリーニングによるDNA損傷ストレス耐性因子の同定; 116種のリボソームタンパク質遺伝子欠損株についてMMS感受性を調査するなかで、L42B欠損株の増殖速度が回復したサプレッサー変異株ではDNA損傷ストレス耐性が低下していること、その原因がL42A遺伝子をコードする第14番染色体の異数化であることを突き止めた。さらに、S9B, S24A, L14A, L16B, L42B, L43Aのそれぞれの欠損株についてもサプレッサー変異株を単離し、DNA損傷ストレス耐性の低下を観察するとともに、パラログ遺伝子がコードされている染色体の重複を確認した。さらに、L42B欠損株のサプレッサーからMMS耐性株を単離し、ゲノムシークエンスによりDNAストレス耐性を回復させる変異を探索した
|