研究課題/領域番号 |
20K05800
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
駒 大輔 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (80443547)
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研究分担者 |
古屋 俊樹 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 准教授 (20367064)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 窒素固定 / ニトロゲナーゼ / アセチレンアッセイ / 比色法 / リグヘモグロビン |
研究実績の概要 |
大腸菌の近縁種であるKlebsiella oxytocaのニトロゲナーゼ遺伝子クラスター(14遺伝子)を5つに分割し、T7プロモーターに連結して、相同組換えにより大腸菌の染色体DNAに導入した。本菌株を窒素源を含まない最小合成寒天培地に植菌し、アネロパックにより脱酸素した密閉容器に入れて、嫌気条件下で培養して生育の有無を確認したが、生育は確認できなかった。 一方、ニトロゲナーゼ活性を評価するための簡便な方法について検討した。種々の検討の結果、インドフェノール法を用いた比色法による評価系を確立した。本法は一般的にニトロゲナーゼ活性の評価に利用されているアセチレンアッセイと相関性があった。 ニトロゲナーゼ遺伝子を導入した大腸菌株の評価を行った。導入したニトロゲナーゼ遺伝子を発現させ、アセチレンアッセイを行ったところ、ニトロゲナーゼ活性が確認された。しかしながら、上述のように、窒素固定を行って菌株が生育するには至っておらず、ニトロゲナーゼの活性は生育に必要な窒素を固定するには不十分であると考えられた。 ニトロゲナーゼによる窒素固定には大量のATPが必要となるが、ニトロゲナーゼは酸素感受性であるため、ATPを大量に生じる好気条件下では不活化する。そこで酸素防御に関わる遺伝子を発現させて、微好気な条件下でもニトロゲナーゼを機能させることを考えた。そのために必要な酸素防御遺伝子として、リグヘモグロビンなどの10種類の遺伝子をクローニングし、大腸菌で発現することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・コロナウイルスに感染し、1カ月程度研究を中断する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
窒素固定を行うにはニトロゲナーゼ活性が不十分であったので、リアルタイムPCRを用いて導入した遺伝子の転写量を解析する。また、現在使用している遺伝子発現様式(3つのタンパク質を1つの遺伝子として発現させ、翻訳後にプロテアーゼで切断して3つのタンパク質を生じるような手法)から、人工オペロンを用いた発現様式(3つの遺伝子を1つのプロモーターで転写制御し、1つのmRNAから3つのタンパク質を生じるような手法)に変更する。 その後、クローニングした各種酸素防御遺伝子を組み合わせて、嫌気~微好気条件下でも窒素固定できるような菌株の作製を目指す。作製した菌株の評価は、窒素固定による生育評価以外に、ニトロゲナーゼの活性評価(アセチレンアッセイ、比色法)によっても行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスに感染して1カ月ほど休業状態だったために計画に若干のズレが生じた。当該助成金は、現在の研究状況を鑑みて、新たにリアルタイムPCRによる転写解析を行う必要があるので、そのためのプライマーの作製に使用する。
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