研究課題
凝縮核様体依存的末端結合によるDNA修復機構の解明の一環として、D. radioduransのddrA遺伝子及びpprA遺伝子の二重欠失株、ddrAP遺伝子及びpprA遺伝子の二重欠失株を作製した。具体的には、pprAプロモーター上流750 bp、pprA遺伝子下流領域750 bpを、4種類の異なる制限酵素切断部位タグ付きプライマーでそれぞれPCR増幅後、制限酵素処理とライゲーションで、スペクチノマイシン耐性マーカー供給プラスミドpKatAAD (2,241 bp)に連結したDNA断片を用いて、ddrA遺伝子欠失株を形質転換し、ddrA pprA遺伝子二重欠失株を作製した。また、D. radiodurans ddrAP遺伝子についても同様にして、pprA遺伝子をスペクチノマイシン耐性マーカーとすげ替えた形のddrAP pprA遺伝子二重欠失株を作製した。作製した2種類の遺伝子二重欠失株のゲノム構成を確認したところ、両欠失株とも、多倍体ゲノムを持つ1細胞中、複数コピー存在するpprA遺伝子の一部が欠失した形のHemi体であることが判明した。現在、スペクチノマイシン存在下で繰り返し増殖させることで、pprA遺伝子がすべてのゲノムコピーから排除されたHomo体の取得を試みている。パルスフィールドゲル電気泳動によるゲノム2本鎖切断修復過程の解析については、これまでに確立した供試細胞濃度、アガロースゲルプラグの調製方法、プロテイナーゼK処理及び制限酵素NotI処理の条件を用いて、細胞菌体のブレオマイシン処理条件の検討を行い、ブレオマイシンによるD. radioduransのゲノムに生じた二本鎖切断を初めて可視化観察することに成功し、さらに、ブレオマイシン処理後の液体培地での菌体培養によってブレオマイシンで誘発された二本鎖切断の修復反応が亢進していく過程を初めて可視化することができた。
3: やや遅れている
gyrA gyrB遺伝子との多重遺伝子欠失株がまだ作製できていない。二重遺伝子欠失が細胞にとって致死的であることも考えられるが、過去の実験で示されているナリジクス酸やノボビオシンに対する感受性の程度を勘案すると、多重遺伝子欠失株の取得は可能であると考えられる。
複数コピーの遺伝子の一部のみが欠失した形のHemi体の培養を続けてHomo体が取得できない場合であっても、Hemi体の変異原に対する反応を野生株と比較することで、欠失遺伝子の機能がある程度推定可能となると考えられるため、Hemi体を用いた遺伝子破壊効果の解析を進める予定である。
消耗品の期間限定キャンペーン等により生じた300円未満の差額である。2021年度に執行予定のオリゴヌクレオチドプライマーの購入費の一部として補充する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (4件)
QST Takasaki Annual Report 2019
巻: QST-M-29 ページ: 96
巻: QST-M-29 ページ: 97
Microbiology Resource Announcements
巻: 9 ページ: -
10.1128/MRA.00145-20
Frontiers in Microbiology
巻: 11 ページ: -
10.3389/fmicb.2020.02050
10.1128/MRA.01188-20
http://www.toyo.ac.jp/nyushi/column/video-lecture/20150603_01.html
http://www2.toyo.ac.jp/~narumi/
http://ris.toyo.ac.jp/profile/ja.a2cc3f430e87b3e77d1b37996e9736fa.html
http://www.toyo.ac.jp/nyushi/undergraduate/lsc/dlsc/laboratory/narumi.html