研究課題
凝縮核様体依存的末端結合によるDNA修復機構に関与するDeinococcus radioduransのddrA遺伝子、ddrAP遺伝子、pprA遺伝子機能を解析する一環として、二重欠失株の作製に注力し、pprAがすべてのゲノムコピーから排除されたHomo体のddrA pprA二重欠失株およびddrAP pprA二重欠失株を取得することに成功した。これらの欠失株の変異原と複製阻害剤に対する性質を調べた結果、pprA単独欠失株よりもddrA pprA二重欠失株が感受性を示したという他の研究室で行われた過去の実験結果とは異なり、ddrA pprA二重欠失株はpprA単独欠失株に比べて、ブレオマイシン、マイトマイシン、ナリジクス酸に対して耐性を示した。また、ddrAP pprA二重欠失株も、ブレオマイシン、マイトマイシン、紫外線、ナリジクス酸、ノボビオシンに対してpprA単独欠失株よりも耐性を示すことを今回初めて明らかにした。さらに、遺伝子相補プラスミドを導入した二重欠失株は、pprA単独欠失株の性質に近い性質を示した。これらのことから、DdrA、DdrAP、PprAは複合体を形成すること、および複合体の構成ユニットの違いによって、変異原と複製阻害剤に対する反応性が異なっていることが示唆された。また、ddrAPの下流に存在するdr0042遺伝子の単独欠失株を作製し、変異原と複製阻害剤に対する性質を調べた結果、dr0042は、紫外線、ブレオマイシン、マイトマイシンに感受性を示すことを明らかにした。ddrAPとddr0042の遺伝子構成は、Deinococcus属細菌で高度に保存されており、しかも2つの遺伝子間の非翻訳領域のサイズの短さから、ddrAP欠損株で観察された変異原に対する感受性の一部は、ddrA0042遺伝子発現の欠損に起因していることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
二重欠失株のプラミスド相補試験によって遺伝子機能に関する信頼性の高い検証ができたこと、また、dr0042遺伝子がDNA修復に関与していることを新たに発見したことから、研究は概ね順調に進展している。
DdrAタンパク質およびDdrAPタンパク質に対するポリクローナル抗体を作製中であり、今後、これらを用いたタンパク質発現と変異原による発現誘導の解析を行う予定である。また、ddrAP ddr0042の二重欠失株とddrA0042遺伝子相補プラスミドを作製し、ddrAP単独での遺伝子欠損効果を明らかにしていく。
2021年度には消耗品購入のタイミングが合わず2,442円の予算残高であった。2022年度に執行予定の消耗品購入の一部として補充する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 備考 (5件)
Astrobiology
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QST Takasaki Annual Report 2020
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https://toyobioresilience.jp
http://www2.toyo.ac.jp/~narumi/
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http://www.toyo.ac.jp/nyushi/undergraduate/lsc/dlsc/laboratory/narumi.html