凝縮核様体依存的末端結合によるDNA修復機構に関与するDeinococcus radioduransのddrA遺伝子、ddrAP遺伝子、dr0042遺伝子、pprA遺伝子の機能解析を継続した。その結果、(i) ddrAP遺伝子のすぐ下流にdr0042遺伝子が存在し、ddrAP-dr0042オペロンが構成的発現をしていること、(ii)ゲノム配列が解読されたほとんどすべてのDeinococcus属細菌でこのオペロン構造が保存されていること、(iii) dr0042欠失株がブレオマイシン、紫外線、マイトマイシンC、ナリジクス酸およびノボビオシンに感受性を示すこと、(iv) ddrAPおよびdr0042遺伝子の二重欠失変異株のブレオマイシン、紫外線、マイトマイシンCといった変異原に対する耐性が野生株と同程度であること、(v) ddrAP、dr0042、pprA遺伝子の三重欠失変異株の変異原に対する感受性が、pprA遺伝子単独欠失変異株よりも軽減されること、(vi) ddrA遺伝子の過剰発現がD. radioduransの正常な複製を阻害することを明らかにした。これらのことから、DR0042はDdrAPと複合体を形成することで、凝縮核様体依存的末端結合に関与するPprAタンパク質などのDNA修復関連タンパク質とDdrAPの相互作用を制御しており、さらにDNA修復完了後にDdrAPがDR0042から解離してDdrAと複合体を形成することで、複製の妨げとなるDdrAのすみやかな不活性化を促している可能性が示唆された。また、DR0042は、Metallophosphoesteraseモチーフを持つことから、非相同組換え修復機構の制御に関わる細菌のSbcDタンパク質あるいは真核生物のMre11タンパク質の機能的ホモログであると考えられた。
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