研究課題/領域番号 |
20K05815
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
志水 元亨 名城大学, 農学部, 准教授 (20423535)
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研究分担者 |
高須賀 太一 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (70748409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 機能未知タンパク質 / ペクチン / Polysaccharide lyase |
研究実績の概要 |
今年度、研究代表者らはchitin、microcrystalline cellulose (MCC)、carboxymethyl cellulose (CMC)、xylan、glucomannan (GlcM)、galactomannan (GalM)、pectinおよびstarchのみを炭素源として生育させた際にA. nidulansが細胞外に分泌するタンパク質についてプロテオーム(セクレトーム)解析した。MCC、CMC、chitin を炭素源にして生育させたものと比較して、xylan、GalM、GlcM、pectinおよびstarchを炭素源にした場合、多種類のタンパク質が生産されていた。総数で 622種のタンパク質が同定され、そのうちの 82 種が、機能が分かっている酵素などとアミノ酸配列レベルで全く相同性を有さず、かつシグナル配列(セルラーゼなどの細胞外酵素が有する)を持つ機能未知タンパク質 (hypothetical protein; HP) であった。本研究では、セクレトーム解析にて検出された82種のHPの機能について解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
82 種の HP の中で、pectin 特異的に生産された HP1-HP7 のリコンビナントを調製し、その機能について解析した。その結果、HP7 は、機能が分かっている酵素などとアミノ酸配列レベルで全く相同性を有さず、かつ CAZyデータベース (http://www.cazy.org) に登録されている全ての Polysaccharide Lyase (PL) ファミリーに属さない新規のペクチン分解酵素 (rhamnogalacturonan lyase) であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
HP7 は新規酵素であるため非常に特徴的な立体構造をとっていると考えられることから、基質存在下および非存在下で新規酵素の結晶化を行い、X 線結晶構造解析を行う。基質との結合に重要と推定されたアミノ酸については、変異を導入することで基質との結合性およびに酵素活性に及ぼす影響を解析する。これらの結果から、HP7 がどのように基質を認識し反応を触媒しているのか明らかにする。また、HP7 以外のタンパク質の機能についても解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度の前半はコロナ禍による緊急事態宣言に伴い大学への入構が原則禁止されたこと、その後も年度末まで入構および研究時間が制限されたことで、一定の研究成果は得られたが研究費使用額が少なくなった。令和3年度はそれらの制限が緩和されているため、これまでに得られた研究成果の進展を目指す。
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