研究課題/領域番号 |
20K05821
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
桐生 高明 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (20416308)
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研究分担者 |
木曽 太郎 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (90416313)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グルクロン酸 / グルカル酸 / 糖酸化酵素 / デヒドロゲナーゼ / 配糖体 / 環状糖 |
研究実績の概要 |
『配糖体酸化物の精製と構造決定』:Pseudogluconobacter saccharoketogenes休止菌体を用い、配糖体であるメチル-α及びβ-グルコシドやpNP-α及びβ-グルコシドのグリコン部を酸化した。反応液から酸化物を精製し、質量分析やNMRで構造を決定した。それぞれの酸化物は、基質のグルコシル基のC-6位のヒドロキシルメチル基が酸化され、グルクロニル基に変換された構造を持つことが分かった。 『オリゴ糖酸化物の精製と構造決定』:トレハロース、マルトース、セロビオース及びゲンチオビオースをP. saccharoketogenes休止菌体で酸化し、それらの酸化物を精製した。トレハロースの酸化物はNMRなどによる構造決定の結果、二分子あるグルコシル基の両方がグルクロニル残基に変換されたものであることが分かった。マルトース、セロビオース及びゲンチオビオース酸化物は加水分解による構成糖の同定や質量分析の結果から、非還元末端側のグルコシル基のC-6位のヒドロキシルメチル基が酸化されグルクロニル基に変換されていた。さらに、還元末端のグルコースはC-1位のアルデヒド基がカルボキシ基に変換されて、グルコン酸に変換されていることが分かった。 『環状糖酸化物の精製と構造決定』:環状糖をP. saccharoketogenes休止菌体で酸化し、生成する糖酸化物を精製した。加水分解による構成糖の同定や質量分析により構造を決定した。環状糖の結合に使用されていないC-6位のヒドロキシメチル基の全てが酸化され、カルボキシル基になっていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度当初の予定通り、休止菌体を用いた酸化反応で生成する配糖体、オリゴ糖及び環状糖酸化物の構造を決定することができた。昨年に引き続き概ね順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、配糖体、オリゴ糖及び環状糖の酸化反応の解析を行う。P. saccharoketogenes休止菌体で配糖体、オリゴ糖及び環状糖の酸化し、生成する中間体の構造を同定する。HPAEC-PADによる酸化反応で生じる中間体および糖酸化物生成の経時変化を測定し、それぞれの基質の反応経路を同定する。配糖体の酸化については、反応条件についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請していた情報収集のための学会参加が、コロナ禍のためオンライン会議に変更になったため、旅費や宿泊費の必要がなくなり、予想した額を大幅に下回った。来年度は遠距離で開催される学会が多いため、当初の予算より旅費等が多く必要となる可能性が高いので、本年度の残余予算をこれに充当する。 本課題の研究成果を論文発表するのために、英文校閲を行う予定であったが、論文の内容の一部に企業との共同研究の内容が入ったため、企業に英文校閲費を負担して頂いた。なお、申請時の予定より多くの論文執筆する可能性が出てきたため、企業負担により余剰となった予算をこれに充当する。 当初、初年度に必要とする試薬の多くを購入し、それを申請の研究期間中に順次使用する計画をしていたが、本年度の研究には、すでに使用中の試薬や消耗品を使用できたため、予想の額より少なく抑えることができた。来年度以降は試薬消耗品費を多く計上していないため、必要となる試薬や消耗品の購入に本年度の残余予算を充当する。
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