研究課題/領域番号 |
20K05822
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
杉森 大助 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (40272695)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ホスホリパーゼD / プラズマローゲン / 可溶性発現検討 |
研究実績の概要 |
2種類のプラズマローゲン特異的ホスホリパーゼD(酵素X,Y)の異種組換え発現について検討を進めた.酵素Xはその遺伝子配列を大腸菌発現に最適化して人工合成し,大腸菌発現させた.その結果,酵素X生産菌親株に比べて大腸菌発現では約8倍の酵素生産量が得られた.しかしながら,生産された酵素のほとんどが不溶性画分に発現していたため,Hisol法による可溶性発現の向上を試みた.その結果,2重変異体S63A/D73Aにおいて変異前の1.3倍活性が向上した.酵素Yは大腸菌と放線菌で発現させることができたが,可溶性発現しているものの,活性が微弱であり,酵素のフォールディング過程に問題があることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標は可溶性発現酵素量を確保し,酵素の動力学的パラメーターを求め,検量線を作成する予定であった.しかしながら,可溶性発現の向上が極めて困難であり,諸特性解析に使用する酵素量を確保できなかった.そのため,動力学的パラメーターの決定と検量線作成まで達成することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
酵素Xについては,2重変異体S63A/D73Aでわずかであるが活性向上が認められた.そこで,この変異アミノ酸をホットスポットと捉え,その情報を参考にアミノ酸置換を進め,可溶性発現の向上を図る.酵素Yは大腸菌に比べ,放線菌発現の方が酵素活性が高かったことから,別の放線菌宿主あるいはグラム陽性菌を宿主とした発現を検討することで対応したいと考えている.また,両酵素ともHisタグ融合できるため,大量培養して酵素量を確保し,動力学的パラメーターの決定と検量線作成を進めたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入に際し,端数が出たためである.本残額は次年度経費として利用する予定である.
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