今後の研究の推進方策 |
本年度は3つのEDTF遺伝子ファミリー(EDTF1,2,3)の欠損変異体edtf-triを作成し、クチクラに関わる組織学的、生理学的な解析を行った。その結果、EDTF1,2,3が植物のクチクラ形成やクチクラ構成成分の合成に関与することが明らかになった。一方、キメラリプレッサーを使用したEDTF-SRDX植物の表現型と比較した結果、edtf-triの表現型の変化は穏やかだった。この結果より、EDTF1が関与するクチクラ形成とその成分合成に関与するEDTFファミリーは他にもあることが予想された。EDTF1,2,3に加え、EDTF4,5,6遺伝子も組み合わせた6重変異体の作成したため、クチクラの構造、ワックス組成分析、下流遺伝子発現の分析を行い、EDTF遺伝子ファミリーによるクチクラ形成に関わる分子制御機構を詳細に解明する。さらに、EDTF6重変異体にGFPEDTF1タンパク質を導入した植物を用いて、クロマチン免疫沈降解析や共免疫沈降解析を行い、下流制御遺伝子の同定を試みる。また、クチン合成遺伝子CYP77A6プロモーター下でEDTFを発現させたシロイヌナズナを用いて、乾燥ストレス応答やクチクラ形成に関わる詳細な解析を行い、クチクラ強化の乾燥耐性への影響を評価し、作物への応用の可能性を検討する。
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