研究実績の概要 |
カバノアナタケが生産する抗糖化成分の構造解析および生理活性評価のために、液体表面培養法により菌糸体を大量に培養した。得られた菌糸体から多段階抽出により抗糖化成分を回収し、陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製した。高い抗糖化活性を示した成分の化学構造をLC/MSおよびNMRで解析したところ、3,4-dihydroxybenzalacetone (DBL, 別名3,4-dihydroxybenzylideneacetone)が主成分であることが明らかになった。 このDBLを主成分とする菌糸体抽出物の抗糖化活性を測定したところ、牛血清アルブミンとグルコースとの反応による蛍光性AGEsの生成抑制については、EC50値は約0.024 g/Lであった。抗糖化の基準物質であるアミノグアニジンのEC50値が約0.13 g/Lであったことから、菌糸体抽出物はアミノグアニジンの5~6倍程度の抗糖化活性があることが分かった。 さらにコラーゲンーグリセルアルデヒド系における蛍光性AGEsの生成についても抑制効果を測定したところ、菌糸体抽出物のEC50値は約0.04 g/Lでありアミノグアニジン(EC50≒0.4 g/L)の約10倍の抗糖化活性を示すことが分かった。また、エラスチンに対する抗糖化活性についても同様の傾向が得られており、DBLの抗糖化活性が高いことが明らかとなった。 今後、線虫に菌糸体抽出物を与え、in vivoでの抗糖化物質の影響について解析する予定である。
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