研究実績の概要 |
カバノアナタケの天然菌核には様々な生理活性物質が含まれているが、天然菌核は存在量が少なく、また人工培養による生理活性物質の生産技術が確立していないため、カバノアナタケは一般には普及していない。本研究ではカバノアナタケ菌糸体の液体表面培養による生理活性物質の生産を検討し、その性質を解析した。 培養菌糸体に含まれている3,4-dihydroxybenzalacetone(DBL)の生理活性を詳細に解析したところ、抗酸化活性についてはコーヒー酸と同程度の高い値であった。また、リボースーBSA系において抗糖化活性を測定したところ、DBLはコーヒー酸の3倍、アミノグアニジンの3.5倍程度の高い値を示した。さらにカバノアナタケの菌糸体にはDBL以外の抗糖化成分が含まれている可能性が示唆された。 次にモデル生物として線虫を用いて生物活性を測定したところ、DBLは糖の投与による蛍光性AGEsの生成を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。また、DBLを含むカバノアナタケの抽出物についても蛍光性AGEsの生成抑制がみられた。現在、DBLの投与による糖化の抑制効果と寿命との関係について解析しているところである。
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