研究実績の概要 |
(I) CETSAとChemProteoBaseを組み合わせた解析システム(2DE-CETSA)の構築:化合物が標的タンパク質に結合する時の熱安定性変化を利用したセルサーマルシフトアッセイ(CETSA)法と2次元電気泳動(2DE)に基づくプロテオーム解析を組み合わせた新規の標的タンパク質解析法の2DE-CETSAの解析基盤を整えた。2DE-CETSAの手法、あるいは、関連手法である植物細胞のタンパク質同定について、広く利用される様に、解析手法の詳細について、Methods in Enzymologyにまとめた(Muroi M, Osada H. Methods Enzymol, 675 :425-437, 2022, Moon JY, et al, Methods Enzymol, 680: 421-438, 2023)。 (II) 2DE-CETSAを用いた新規化合物の解析による解析系の有用性の証明:がん細胞の増殖阻害を指標にスクリーニングで得られた、標的分子の知られていない活性物質、あるいは、植物細胞を標的とした化合物について2DE-CETSAを用いた解析を行い、標的候補タンパク質を見出し、解析を行った。また、中国との共同研究で、植物由来のIsoquercitrinについて、2DE-CETSAを用いた解析を行い、複数のタンパク質に作用してAMPK/SREBP-1c/FAS/CD36 シグナル伝達経路を経て、抗肥満効果をもたらすことを明らかにした(Manzoor M, et al Food Funct, 13(21): 10923-10936, 2022)。さらに、標的未知の化合物であるAllantopyrone Aの作用解析についても行い、化合物がプロテアソーム系に作用していることが明らかになった(Okuda C, et al. J Antibiot, in press, 2023)。
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