研究課題/領域番号 |
20K05860
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
解良 康太 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (30644546)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 活性イオウ分子種 / 藍藻 / シロイヌナズナ / 光合成 |
研究実績の概要 |
1.シロイヌナズナにおけるシステインパースルフィド生合成酵素には転写開始点の異なるアイソフォームがあることが予測されている。これらの遺伝子発現量を検討する第一段階として、RNA-Seqの解析結果に基づき、アイソフォームの存在を検討した。 2.シロイヌナズナにおける3つのシステインパースルフィド生合成酵素をin situで検出するために、ペプチド抗体の作製をおこなった。アイソフォームを区別することを考慮して、4つの抗体を作製した。また、システインパースルフィド生合成酵素と密接な関係が予測される硫化水素酸化酵素についてもペプチド抗体を作製した。作製した抗体を用いて、異種発現酵素を用いて特異性の検討などの性能評価を行った。 3.シロイヌナズナにおけるシステインパースルフィド生合成酵素の光合成における機能を解析するために、PAM蛍光法を用いて光合成機能の解析を進めた。シロイヌナズナ変異体について、光化学系IIの量子収率、熱放散、非光化学的消光などを測定し、野生株との比較を行った。 4.シロイヌナズナには、複数のシステインパースルフィド生合成酵素が存在する。そこで、それらが発現組織別に機能分担をしていることを予想し、発現組織を解析するために、GUSレポーター遺伝子発現株の作製を進めた。シロイヌナズナのデータベースから、隣の遺伝子までの配列情報を取得し、シスエレメントのコンセンサス配列などを考慮して、推定プロモーター領域を決定した。シロイヌナズナを形質転換するためのコンストラクトを設計、作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行に伴い、大学への入構禁止や入構時間制限などの措置が行われた。このため、研究を実施できる期間が大幅に制限された。その中で、今後の解析に必要なペプチド抗体を作製するなど、制限下で実施可能な研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1.システインパースルフィド生合成酵素は二機能性の酵素であるため、部位特異的変異導入を行うことで、システインパースルフィド生合成活性のみを低下させた変異酵素の作製を進める。大腸菌異種発現により作製した精製酵素標品を用いて、in vitroでの活性測定を進める。また、シロイヌナズナにおいてネイティブプロモーターによる発現系の構築を進める。 2.作製したペプチド抗体を用いて、シロイヌナズナにおけるシステインパースルフィド生合成酵素の検出を進める。 3.PAM蛍光法を用いて、シロイヌナズナ変異体および藍藻変異体における光合成活性を測定を進める。光条件などを変更し、様々な光環境におけるシステインパースルフィド生合成酵素の生理機能解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス対応の影響で、研究活動が制限された。このため、消耗品などの購入について、予定よりも使用額が減少した。また、情報収集のために国内学会への参加を計画していたが、新型コロナウィルス対応の影響で、参加予定の学会開催が中止されたため。発生した次年度使用額は、物品費として使用予定である。
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