1.藍藻由来のシステインパースルフィド生合成酵素を大腸菌で異種発現させ、精製後に活性測定を行った。その結果、活性を示し、更にピリドキサールリン酸の添加によって活性上昇が観察された。また、ピリドキサールリン酸の結合モチーフに変異を導入したところ、活性が大幅に低下した。 2.シロイヌナズナ由来の硫化水素キノン酸化還元酵素について、大腸菌で異種発現させ、精製後に活性測定を試みたが、活性は確認できてなかった。 3.藍藻の生育における硫酸イオンの影響を検討したところ、培地中の硫酸イオン濃度の上昇に伴い、生育が促進された。藍藻の野生株とシステインパースルフィド生合成酵素の変異タンパク質発現株を様々な光環境下で生育させたところ、特定の光環境下で変異株の生育遅延が観察された。更に相補株を作製したところ同様の環境下での生育が回復した。また、システインパースルフィド生合成酵素の過剰発現株について、硫酸イオン制限下で生育試験を行ったところ、生育遅延が観察された。 4.WaterPAMを用いて、上記の藍藻変異株について光合成への影響を評価したところ、光合成に関与することを示唆する結果が得られた。光合成において、活性酸素種が発生することから、変異株における活性酸素種の影響を観察したところ、藍藻変異株は活性酸素種に脆弱になることが示唆された。 5.植物における活性イオウ種の生理機能を解析するために、光合成を活発に行う葉に着目した還元性物質の解析を行った。若葉と成葉における還元性物質量を定量したが、有意な差は検出されなかった。
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