研究課題
基盤研究(C)
本研究では、光合成生物における活性イオウ分子種(RSS)の生理機能を解明に向けて、光合成細菌(ラン藻)や高等植物(シロイヌナズナ)において、代表的なRSSであるシステインパースルフィド(CysSSH)の生合成酵素の生理機能解析を行った。その結果、ラン藻およびシロイヌナズナ由来のCysSSH合成酵素を同定することに成功した。また、作製した変異体の生育試験や光合成機能解析を通して、CysSSHが光合成電子伝達経路で機能を果たしている可能性を提示できた。
植物分子生物学
CysSSHの生合成研究は、哺乳類細胞において先行しており、近年、「イオウ呼吸」と命名された電子伝達経路における機能が報告されている。葉緑体の祖先にあたる光合成生物では、緑色硫黄細菌などがH2Oの代わりに硫化物イオンを用いた光合成をすることが知られている。一方、進化した酸素発生型光合成を行う植物では、生合成酵素の観点からCysSSHの光合成における機能解析は行われていない。本研究では、酸素発生型光合成生物における「イオウ呼吸」の存在と生理的意義の解明の最初の一歩として位置づけられる。