研究課題
基盤研究(C)
ヤセウツボなどハマウツボ科に属する根寄生雑草は、農作物の根に寄生してそれらの収量を激減させる。根寄生雑草による被害を化学的な手法で抑えるため、ヤセウツボの幼根伸長を阻害する物質を、97種の担子菌類培養抽出物から探索した。選抜した5種の担子菌を大量培養し、既知の化合物6つと新規化合物9つを単離同定した。いくつかの化合物は効果的にヤセウツボの幼根伸長を阻害したことから、新たなタイプの根寄生雑草被害抑制剤となる可能性が示唆された。
生物有機化学
根寄生雑草に対して、これまでは種子発芽を誘導する物質で寄生被害を軽減しようと研究が進められてきたが、実用化には至っていない。しかし本研究では発芽後の種子を標的とし、幼根伸長を阻害することで宿主への到達を妨げ、寄生被害を押さえるような物質の単離と同定に成功した。このような化合物の報告はまだ少なく、また比較的小さな分子であったことから、今後は構造改変などでより効果的かつ実用可能な物質の開発に繋がると考えられる。