研究課題/領域番号 |
20K05868
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
倉持 幸司 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 教授 (90408708)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 1,4-ナフトキノン / C型肝炎ウイルス / 二量化 / フェナジノン |
研究実績の概要 |
我々は、これまでの研究で、天然物ジュグロマイシン C からジュグロルビンへと直接変換する一段階合成反応を開発した。また、合成したジュグロルビンが抗 C 型肝炎ウイルス(HCV)活性を有することを見出した。ジュグロマイシン C からジュグロルビンへの変換反応は、類似反応を含めてこれまで報告がない。そこで本研究ではこの一段階合成反応の基質一般性を検証すると同時に多くの誘導体を合成することとした。また、合成した誘導体の抗 HCV 活性を測定し、構造活性相関を明らかにすることを目標とした。 本年度、ジュグロルビン誘導体の合成研究に取り組み、原料のベンゾキノンとナフトキノンを合成することができた。また抗 HCV 活性の前段階の活性評価として、 肝臓 X 受容体のリガンド活性の評価系を立ち上げた。 酸素を用いたヒドロキノンの酸化カップリング反応は、N-アルキルフェナジノン類の合成にも適応できることを見いだした。フェナジノンは、カルボニル基の位置の違いで N-アルキルフェナジン-1-オンと 10-アルキルフェナジン-2(10H)-オンに分類される。我々はこれらフェナジノン類を網羅的に合成する方法を開発し、数多くの天然物、非天然物を合成することに成功した。さらに合成した N-アルキルフェナジン-1-オンの中からがん細胞選択的に毒性を示す化合物を発見することができた。また、N-メチルフェナジン-2(10H)-オンには特異な蛍光特性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナフトキノン出発原料の合成に成功することができたため。また目的の酸化カップリング反応は、ナフトキノンの二量化の合成だけでなく、N-アルキルフェナジノン類の合成にも適用できることを見出し、反応の一般性や有用性を検証することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に合成したベンゾキノンとナフトキノン原料を用いて、目的の二量化反応に取り組み、所望の二量体を合成予定である。さらに合成化合物の生物活性評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの感染拡大による影響で、当初予定していた実験の一部を実施できなかった。これらの実験は次年度に実施する予定である。
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