生体触媒により生じた高反応性中間体が酵素のアミノ酸残基の形成する不斉反応場中で光学活性物質に変換されるという連続的な反応を、優れた収率や不斉収率で達成することを目的として研究に取り組んだ。具体的には、生体触媒での加水分解をトリガーとする遠隔不斉誘導と生体触媒をトリガーとするドミノ型酸化‐不斉環化の2つの課題に取り組んだ。特に興味深い結果として、ブテノライドを対象とする検討の中で、生体触媒により高反応性なジエノラートが生じ、引き続く二重結合の移動を伴うプロトン化が、γ-位でエナンチオ面選択的に進行することを見出したことが挙げられる。この反応を利用し、各種の光学活性なブテノリドの合成を達成した。
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